欧州自由貿易連合との包括的経済連携協定、批准へ前進

(インドネシア、スイス、アイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタイン)

ジャカルタ発

2021年04月13日

インドネシア商業省は3月23日付の同省プレスリリースで、インドネシアと欧州自由貿易連合(EFTA)加盟国間の包括的経済連携協定(Indonesia EFTA - Comprehensive Economic Partnership Agreement:IE-CEPA)の批准に関する法案が、国会第6委員会および政府によって承認されたと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

本協定はインドネシアにとって、欧州の国との間で結ぶ初めての経済連携協定となる。2010年7月に交渉が開始され2018年12月に署名済みだったものの、インドネシア産パーム油に対する関税引き下げが環境破壊につながるとし、スイスの農業団体が国民投票を提起。3月7日にスイスで行われた国民投票で、51.65%の賛成多数で可決されていた(2021年3月10日記事参照)。

EFTA加盟国(スイス、アイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタイン)への輸出額は、インドネシア全体の輸出入額の0.7%とわずかではあるが(「ジャカルタ・ポスト」紙3月5日)、EFTA加盟国の購買力の高さや外国投資の多さなどから、本協定が欧州へのインドネシア産品・サービスの輸出、投資の足掛かりとなることが期待される(商業省プレスリリース)。今回の承認を受け、ルトフィ・ムハンマド商業相は、新型コロナウイルス禍後の経済回復を促進するための戦略的政策の1つが同協定だと強調し、「今後、協定の枠組みの中で、インドネシアのパーム油の持続可能性基準(ISPO)が受け入れられるようにしたい」とした。

法案は今後、国会本会議にかけられ、法制化される見込みだ。商業省の2国間交渉の担当者は今後の流れについて、「両国での批准プロセスが完了し、外交文書が受領されてから60日後に発効する」と説明している(「コンタン」紙3月22日)。インドネシア商工会議所副会頭のシンタ・カムダニ氏は「今必要とされていることは、この協定の活用をインドネシア国内の輸出業者に広め、今後EFTA加盟国の市場に進出する準備をすることだ」とした。政府も3月31日、本協定にかかるセミナーを開催するなど、国内企業への普及・啓発を順次進めている(インドネシア財務省ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(尾崎航)

(インドネシア、スイス、アイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタイン)

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