第1四半期のGDP成長率、前年同期比18.3%

(中国)

北京発

2021年04月20日

中国国家統計局の4月16日の発表によると、2021年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率は前年同期比18.3%となった(添付資料表・図参照、注1)。産業別にみると、第一次産業は8.1%、第二次産業は24.4%、第三次産業は15.6%だった。

主要経済指標をみると、投資(全国固定資産投資、農業を含まず)は9兆5,994億元(約159兆3,500億円、1元=約16.6円)で前年同期比25.6%増、うち、インフラ投資は29.7%増、民間投資は26.0%増となった。ハイテク産業への投資は37.3%増、うち、ハイテク製造業が41.6%増、ハイテクサービス業が28.6%増だった。消費(社会消費品小売総額)は10兆5,221億元で33.9%増と大幅に増加した。うち、インターネット上の実物商品小売額は25.8%増で、消費全体の21.9%を占めた。工業生産増加額(付加価値ベース)は24.5%増となった。製品別では、新エネ車、産業用ロボット、ショベルカー、PC、集積回路の生産量がいずれも前年同期比60%以上の増加だった(同期間の貿易については2021年4月15日記事参照)。

国家統計局の劉愛華報道官は2021年第1四半期の経済実績について、比較対象となる2020年第1四半期の数値が低かったことや、2021年の春節(旧正月)期間は「今いる場所で年を越す」キャンペーンにより、工場などの稼働日数が増えたことなどの特殊要因はあったが、中国経済は安定的に回復していると評価した。

他方、劉報道官は、製造業の投資が新型コロナウイルス感染流行前の水準に回復していないことや、一部のサービス業や小規模・零細企業の成長が依然として緩やかであること、雇用は全体としては安定しているものの、16~24歳の若年層の労働市場への大量流入に伴う就業圧力の増大や、企業が労働者を募集しても集まらない問題などが起きていることを指摘した(注2)。

(注1)国家統計局のデータを基にしているCEICデータベースによると、1992年以降の中国の四半期別実質GDP成長率としては、1993年第1四半期の15.3%が最高となっている。

(注2)国家統計局の劉報道官は、一定規模以上の工業企業9万社に対する調査によると、約44%の企業が労働者の募集難を最大の問題と回答しており、特に現場の熟練・非熟練労働者が不足しているとの意見が多かったと紹介した。

(小宮昇平)

(中国)

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