第1四半期の貿易は前年同期比38.6%増、米国の経済刺激策などで対米輸出は約7割増

(中国)

北京発

2021年04月15日

中国海関(税関)総署の4月13日の発表によると、2021年第1四半期(1~3月)の貿易総額(ドル建て、以下同)は前年同期比38.6%増の1兆3,036億ドルとなった。輸出は49.0%増の7,099億8,000万ドル、輸入は28.0%減の5,936億2,000万ドルで、貿易収支は1,163億6,000万ドルの黒字だった(注1)。

海関総署の李魁文報道官は同期の貿易が好調だった理由として、新型コロナウイルスワクチンの接種進展によって世界経済・貿易の回復が進んだこと(注2)、中国経済が安定した回復を続けていること(注3)などを挙げた。

主要国・地域別では、ASEANが最大の貿易相手となった。輸出では米国、EUに次いで3位、輸入は1位だった(添付資料表参照)。なお、主要国・地域の中では米国向け輸出額の伸びが最も大きかったが、商務部国際貿易経済合作研究院国際市場研究所の白明副所長はその要因として、米国が打ち出した大規模経済刺激策によって米国の国内需要が急増したことと、米国が一部の中国製品に対して追加関税の適用除外措置を取ったため輸出の伸びが加速したことを挙げた(注4、「21世紀経済報道」4月14日)。

李報道官は今期の伸び率が高かった点について、比較対象となる2020年第1四半期の数値が低かったためとしつつも、新型コロナウイルス感染拡大以前の2019年第1四半期と比べても20.5%増となっているとして、今期の好調さを指摘した。他方、2021年第2四半期(4~6月)の貿易については、世界の新型コロナウイルス感染の再拡大やスエズ運河での船舶座礁が国際貿易・物流に与える影響などもあり、成長のハードルが高いとした。

商務部の高峰報道官は、第1四半期の貿易動向は良好だったが、輸出企業は海上運賃の高止まりや輸送力不足が受注に影響し、原材料価格の上昇が生産コストを引き上げ、一部地域では従業員の人手不足が顕著だと指摘した。白明氏は、輸送力不足はコンテナ供給の回復に伴って徐々に緩和するが、人手不足は長期的な課題との見方を示している(「21世紀経済報道」4月14日)。

(注1)元建てでは総額が前年同期比29.2%増、輸出が38.7%増、輸入が19.3%増。

(注2)海関総署の発表によると、第1四半期の中国のEU、米国、日本向け輸出の合計は前年同期比48.5%増となり、輸出全体の伸びに対する寄与率は44.2%に上った。

(注3)海関総署によると、中国国内では多くの業種の生産や新規受注が好調で、製造業の景気が一段と回復しており、集積回路や原油・銅などの輸入増加につながったとしている。

(注4)米国による対中追加関税適用除外措置については、2021年3月10日記事などを参照。

(小宮昇平)

(中国)

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