320億ユーロ規模の経済対策を発表、企業支援を拡充

(イタリア)

ミラノ発

2021年04月05日

イタリア経済・財務省は3月29日、新たな経済対策「支援令」(Decreto Sostegno)にかかる詳細を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。320億ユーロ規模の本経済対策は、「企業と経済」「労働および貧困への対抗」「健康と安全」など5本の柱から成るが、ビジネス分野の支援を主な目的とする「企業と経済」に全体の約半分に当たる159億ユーロが充てられる。新型コロナウイルス感染拡大の収束が見通せず、各種行動制限や社会活動の規制措置が長引く中、経済的打撃が深刻な企業および自営業者等に対する支援を通じて経済の立て直しを図る。

企業に対する支援メニューの1つとして、感染拡大による経済的影響を受けた企業に対して補助金が支給される。2019年の収益が1,000万ユーロを超えず、また2020年の月単位の売り上げ平均が、2019年の同平均に比べ少なくとも30%減少した企業が対象となる。これまでの補助金支給においては、しばしば収益が500万ユーロ以下の企業が対象とされていたが(2020年5月26日記事参照)、今回の「支援令」では要件が緩和されたかたちとなる。なお、2019年1月1日以降に活動を始めた企業については、30%の売り上げ減少条件は免除となる。実際の補助金の額は、各企業の売り上げ規模および2019年から2020年にかけての月の売り上げ平均の減少度合いなどによって異なる(注)。イタリア歳入庁(Agenzia delle Entrate)のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますからオンライン上で申請手続きができる。

このほか、労働者の雇用と所得を守るための支援も継続する。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、活動の一時停止あるいは縮小を余儀なくされた雇用主は、従業員に対して、減少した所得の一部を補助する支援制度を引き続き活用することができる。普通所得補助(Cassa Integrazione Guadagni Ordinaria)の場合は、4月1日から6月30日までの間で、最長13週間申請が可能。また、普通所得補助などでの支援の適用外となる産業や、その支援期間を上回る期間の事業停止・縮小を強いられた場合などに適用できる通常手当(Assegno Ordinario)や例外的所得補助(Cassa Integrazione in Deroga)の場合は、4月1日から12月31日までの間、最長28週間申請可能となっている。

(注)実際の算出方法は、3月22日付暫定措置令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます第1条5項を参照。

(山崎杏奈)

(イタリア)

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