新たに550億ユーロの経済対策を発表、経済の再起を目指す

(イタリア)

ミラノ発

2020年05月26日

イタリア政府は5月13日、新型コロナウイルス感染への対応として550億ユーロ規模の新たな経済対策を決定、同19日に官報に掲載された。大きな打撃を受けた経済を立て直すことを狙いとし、「再出発令」(Decreto Rilancio)と名付けられている。医療、文化、観光、教育、スポーツ面でのサポートなど、内容は多岐に渡るが、企業向けの支援措置に関する主な内容な以下のとおり。

  • 前会計年度の売り上げが500万ユーロを超えず、2020年4月の売り上げが前年同月比で3分の2以下となった企業および自営業者などについて、売り上げ規模および減少度合いに応じて給付金を支給する(注)。なお、2019年1月以降に創立された会社は売り上げの減少要件を免除。
  • 前会計年度の売り上げが500万ユーロを超えず、かつ月の売り上げが前会計年度の同月比で少なくとも50%減少した企業に対して、月の家賃の60%相当を税額控除とする(非居住用の不動産が対象)。対象期間は2020年の3月、4月および5月。なお、ホテルについては企業規模を問わず適用可能とする。
  • 州事業税(IRAP)の支払いについて、売り上げが2億5,000万ユーロ以下の企業を対象に支払いの一部を免除する。
  • 社員の健康を守るため、職場の衛生管理やそれに伴う資材の購入(個人用防護品も含む)について発生した費用に関して、6万ユーロを上限に60%の税額控除が受けられる。

なお、イタリアでは2020年予算法で砂糖税、プラスチック税の導入が決定されていたが、今回の「再出発令」により、導入は2021年1月1日に延期されることとなった(2020年4月3日記事参照)。

(注)2019年4月と2020年4月の売り上げの差分に、以下のとおり一定割合をかけた額が支給される。前会計年度売り上げ40万ユーロ以下の企業:20%、40万ユーロ以上100万ユーロ以下:15%、100万ユーロ以上500万ユーロ以下:10%

(山崎杏奈)

(イタリア)

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