今後半年間で新たに340万人が食糧難の恐れ、WFPレポート

(ミャンマー)

ヤンゴン発

2021年04月23日

国連世界食糧計画(WFP)は4月21日、ミャンマーで今後半年間に食料難に陥る人が340万人増加するとのレポート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表した。それによると、前提として、同国では2月1日の国軍による権力掌握以前、新型コロナウイルス感染拡大などの影響もあって280万人が食料難状態にあったと指摘。国軍の権力掌握がもたらした現在の深刻な経済混乱が3月末から6カ月間継続すると仮定した場合、同期間で特に都市部で新たに340万人が食糧難になると分析している。

ミャンマーは新型コロナウイルスの影響による経済悪化はあったものの、世界銀行は2020年12月時点で、2020/2021年度(2020年10月~2021年9月)の経済成長率を2.0%と見込んでおり、中期的には工業団地・都市開発などの新規建設投資や道路交通・通信インフラの発展、電気・エネルギー分野や製造業の復活、デジタル技術を活用した生産性の向上などに支えられ、平均7%台の成長率が期待できるとしていた(2020年12月21日記事参照)。一方、国軍の権力掌握以後は治安の悪化や、労働者の不服従運動などにより経済が大打撃を受けて、多くの労働者が職と収入を失っており、世界銀行が3月末に発表したレポートPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(マクロ貧困見通し)では、2021年の経済成長率はマイナス10%との予測を発表している。

WFPのレポートによると、国軍が権力を掌握した2月以降、生産や物流の停滞を原因としてコメや食用油などの価格が全国的に上昇しており、特にラカイン州やカチン州、チン州などの国境地域で上昇率が高くなっていると指摘。

WFPは22日、ミャンマーに対する食糧支援を今後強化すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、同時に国際社会の協力も求めた。

(田原隆秀)

(ミャンマー)

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