政府がデジタル課税の平衡税の課税範囲を拡大

(インド)

ニューデリー発

2021年04月20日

インド政府はデジタル課税である平衡税(ジェトロのインド-税制参照)の課税範囲を明確化し、2021年財政法として4月1日から施行された(2021年3月28日付官報PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)106~107ページ参照)。この発表により、平衡税の課税範囲が拡大し、今回新たに、非インド法人の他社のオンラインサイトに出品するかたちでインド市場向けにデジタルビジネスを行う非居住者が対象となり、同サイトでの電子商取引の供給またはサービス対価に2%の平衡税が課せられることになる。

新たに明確になった平衡税の課税範囲は以下のとおり。

  • 電子商取引事業者の仲介、物品・サービスの所有のいかんにかかわらず、物品取引・サービス提供の価値が対価に含まれ、平衡税の対象となる。
  • オンラインでの取引行為には、サプライヤーからの販売提案への合意、受発注、対価支払い、物品販売、サービスの一部および全てが含まれる。
  • ロイヤルティーや技術的役務の対価となる場合は、平衡税は徴収されない。

この明確化により、平衡税の課税対象に電子商取引とサービスの全てが含まれることとなり、平衡税の課税範囲が拡大した。所有権移転の自社取引を伴わないマーケットプレース事業者や出品者、デジタル広告販売・データ提供サービス、企業間取引(BtoB)、企業対消費者取引(BtoC)を含む広範囲なデジタル取引が課税対象となり、EC事業者の物品の所有いかんに関係なく、全ての対価が対象となる。

平衡税については、ニルマラ・シタラマン財務相が2021年2月1日、インド国家予算案で課税範囲を明確化し、デジタルビジネスに対する税収の対象範囲を拡大することを発表していた(「2021年インド国家予算案」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)135~136ページ、302~303ページ参照)。一方、インドに拠点を持ち法人税を納める企業については、平衡税の課税を免除するとの修正が加えられ、3月23日に下院を通過し、上院と大統領府での承認を経て、4月1日の施行となった。

大手会計事務所の担当者によると、他社のマーケットプレースでECビジネスをする出品企業などは、商取引の取り決め形態の再検討や再評価が求められるという。

(大穀宏)

(インド)

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