海上輸送運賃の高騰、米西海岸向けコンテナ増により夏には落ち着くとの見方も

(香港)

香港発

2021年04月12日

世界的なコンテナ不足によって海上輸送運賃が高騰する中、香港から米国西海岸(ロングビーチ港、ロサンゼルス港)向けの海上輸送コンテナ量は、2020年第1四半期(1~3月)を底に増加傾向となっている。米国西海岸向けは2019年第2四半期(4~6月)以降、米中貿易摩擦の影響や新型コロナウイルス感染拡大に伴う国際輸送手段の制限などを受け、前年同期比で減少が続いていたが、2020年第4四半期(10~12月)は25%増と7期ぶりに増加した(添付資料図参照)。

米国での巣ごもり需要増などの影響を受けて、米国西海岸のコンテナ取扱量は前年を上回る水準で推移している(2021年4月8日記事参照)。港湾混雑の継続により船舶が滞留し、コンテナ不足を招いており、結果として海上輸送運賃が高騰しているといわれている。香港に調達拠点を構える自動車部品関連企業によると、中国(香港を含む)と米国西海岸を結ぶコンテナ運賃は現在、前年比約3倍に上昇している。

物流関連企業へのジェトロのヒアリングでは、コンテナ不足の要因として、米国西海岸の港湾自体の物理的な混雑に加え、コンテナ回転率の悪さ、すなわち新型コロナウイルス感染拡大に伴う港湾オペレーターや倉庫などの港湾労働者、トラックドライバーの不足により、内陸へ輸送したコンテナがスムーズに戻ってこない点を挙げている。この企業は、米国向け海上輸送運賃(短期スポット運賃)は、東南アジアから米国向けの輸出増に伴うコンテナ需要増とコンテナ不足により、2020年下半期以降上昇してきたが、2月の旧正月前がピークだったとしている。また、東南アジアと米国間航路に船が投入され、3月からはコンテナ需要地である東南アジアで新コンテナが投入されているため、2021年夏にかけてコンテナ不足や運賃の高騰は落ち着いてくるだろうとの見通しを示した。

(渕田裕介)

(香港)

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