スイス連邦政府、2段階目の緩和措置案を発表

(スイス)

ジュネーブ発

2021年03月15日

スイス連邦参事会(内閣)は3月12日、感染再拡大が懸念される状況としつつも、2段階目の緩和措置案に関する各州との協議を予定どおり開始すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2月24日に、2段階目の緩和を3月22日から実施するとして予告していたもの(2021年2月25日記事参照)で、措置案の概要は以下のとおり。

  • 観客参加のコンサート、映画などについて、観客の人数を屋外の場合は150人以下、屋内の場合は50人以下に制限した上で再開を認める。加えて、集客人数は施設収容人数の3分の1までに制限され、観客間の社会的距離確保とマスク着用が義務となる。また、イベント時の飲食や休憩時間の設置も禁止される見込み。
  • ガイドツアーなどのグループ行動を伴う活動について、参加人数を最大15人まで許可。家族での屋内の集会は、これまで5人に制限していたこところ、10人まで可能となる。
  • レストラン、バーはテラス席のみ営業再開を認める。1テーブル4人までとし、各テーブル間の社会的距離の確保やスクリーンの設置、顧客全員の連絡先情報の収集義務付けなどの条件がつく。
  • 動物園や植物園など公共利用施設の屋内部分の再開、ただしプールや温泉を除く。
  • スポーツや文化活動は参加人数を15人以下に制限した上で、全年齢で許可されるが、マスク着用義務、社会的距離の確保などの条件がつく。合唱やジムでのトレーニングなどは例外的にマスク着用義務が免除されるが、事前に検査を実施することを推奨する屋外では身体的接触を伴うスポーツを解禁する。
  • 義務教育課程以降の学校において、1クラス15人まで、かつ施設収容人数の3分の1以下の条件で対面授業が再開される。
  • 企業に対するテレワーク実施義務は継続する。

感染状況は不確定で、現在は第3波となる感染の再拡大が懸念されている。12日時点の2週間での10万人当たり新規感染者数は177人(目標:3月1日時点の166人以下)、過去7日間平均の実効再生産数が1.07(目標1.0以下)、新型コロナウイルス検査の陽性率は4.8%(目標5%以下)で入院患者数が176人(目標250人以下)と、緩和措置の2段階目への移行の条件とされた数値の一部しか満たされていない。そのため、状況を注視しながら各州と協議をし、19日に実施の可否を最終的に判断する。

連邦政府は新型コロナウイルス検査の大規模な実施も安全対策の柱と捉えており、検査を15日から無料化するほか、個人で検査が可能な迅速検査キットについても、信頼性が認められ、使用・配布が可能な状況になり次第、1人につき毎月5回分の検査キットを無料で配布するとしている。併せて、新型コロナウイルス陽性者との近接通知アプリSwissCovidの改修を許可し、ドイツで使用されている同種アプリとの互換性を確保できるようにする見込みを発表した。

(和田恭)

(スイス)

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