戦略物資の国内生産促進に向け105件の事業を選定

(フランス)

パリ発

2021年03月12日

フランス経済・財務・復興省は3月4日、戦略的な物資の国内生産と海外からの生産回帰を支援する補助金制度について新たに105件のプロジェクトを選定PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。補助金の支給額は合わせて1億8,400万ユーロ。プロジェクトの実施により、6,700人の雇用創出を見込む。

国内生産・生産回帰支援措置の選定は、今回で3度目(2020年11月26日記事2021年2月16日記事参照)。これまでに公募により選定されたプロジェクトと合わせると160件で(注)、補助金支給額は3億2,600万ユーロとなった。政府は同措置に6億ユーロの予算を充てており、2021年も継続してプロジェクトを公募する。

今回は、5つの戦略分野のうち、第5世代移動通信システム(5G)5件、エレクトロニクス22件、食品24件、素材24件、健康・医療30件が選定された。各分野における主なプロジェクトは以下のとおり。

  • 5G:フランス国鉄(SNCF)のデジタル技術開発子会社イットノヴェム(ITNOVEM外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)による5Gを鉄道事業に応用した実証実験プラットフォームの構築
  • エレクトロニクス:技術系スタートアップのエコ(Eyco外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)による超微細チップ部品の生産設備の新設
  • 食品:ニース市に本社を置くスタートアップのイナルブ(INALVE外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が開発した海藻を使った養殖飼料用代替タンパク質の生産プロジェクト
  • 素材:化学系スタートアップのソルビオニック(Solvionic外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)による電池およびスーパーキャパシタ向け電解質の生産ラインの設置
  • 健康・医療:医薬品開発の受託研究ヌビザン(NUVISAN外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)による新型コロナウイルス感染症の治療薬や抗がん剤医薬分子の開発・製造事業

政府は、国内生産・生産回帰支援措置と並行して、2021~2025年の第4次未来投資計画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(総額200億ユーロ)の中で、医薬品の国内生産拡大に3億ユーロを割り当てることを2020年9月3日に発表していたが、今回、同予算の中で補助金を支給する5件の新たなプロジェクトも併せて発表した。地方に所在する医薬品メーカーの生産設備の近代化や増強などに、合わせて2,400万ユーロの補助金を支給する。同予算の中で、これまで11件のプロジェクトが選定されており、今回発表された5件と合わせると補助金の総額は1億5,500万ユーロとなった。

(注)第4次未来投資計画の枠内で選定されたプロジェクトを除く。

(山崎あき)

(フランス)

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