欧州中小企業連合会、経済復興へ向けて雇用対策などが必要と主張

(EU)

ブリュッセル発

2021年03月01日

欧州中小企業連合会(SMEunited)は2月25日、「新型コロナ危機」からの経済復興に向けて、加盟国が国別に策定する復興レジリエンス計画(注)について、各国政府に対する要望を表明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同連合会は、復興レジリエンス計画は中小企業の投資およびイノベーション能力を強化するものとなり、また、ビジネス環境や欧州経済の競争力を改善するため、公的投資、民間投資へのインセンティブおよび必要とされる改革の適切なバランスを示すべきだとした。その上で、中小企業にとって最も重要な要素として、「存続可能な企業が流動性を確保し、支払い能力を維持できる資金調達手段の提供」「単一市場のより完全な機能および『中小企業の視点で考える原則('Think small first' principle)』に基づく、企業への負担がより少ない規制の整備」「中小企業のデジタル化への支援と、データおよびプラットフォームへの公正なアクセス確保」などを挙げた。

雇用の維持・創出、技能研修の必要性も訴える

同連合会のベロニク・ウィレムス事務局長は2月22日、EUの雇用・社会政策担当相理事会の非公式会合に出席し、「新型コロナ危機」は中小企業に甚大な影響を与え、今後の見通しも非常に不確実だとして、中小企業が事業を継続し、雇用を維持・創出するための支援策が必要だと訴えた外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。この非公式会合は、2021年上半期EU議長国ポルトガルのポルトで5月7日に開催が予定されている「社会サミット」の準備のため行われた。多くの加盟国の担当閣僚からは、さらなる雇用対策、特に若者や女性など、「新型コロナ危機」の影響を最も受けた社会層の労働市場への統合のため、雇用の創出への意欲が示された。これに対して、同事務局長は、労働市場が急速に変化する中、中小企業の復興にとって技能習得は主要課題で、起業家や従業員を対象とする職業上必要な、またデジタル化およびグリーン化に対応するための技能訓練が特に求められていると指摘した。また、起業家教育や、女性の理工系研究者・起業家・管理職の増加に取り組む必要性などにも言及した。

(注)EU復興基金に基づく補助金および融資を受けるために、各加盟国が欧州委員会に提出する計画案で、グリーン化・デジタル化のための改革案や公共投資計画などを含む(2020年9月18日記事参照)。

(滝澤祥子)

(EU)

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