ロッテルダム港、グリーン水素の国際的連携進む

(オランダ、チリ、オーストラリア)

欧州ロシアCIS課

2021年03月29日

オランダのロッテルダム港湾局は3月17日にチリのエネルギー省、23日にオーストラリアの南オーストラリア州との間で、グリーン水素(注1)の輸出入に関する実現可能性調査についての覚書(MOU)を締結したと発表した。

ロッテルダム港は、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換と、北西ヨーロッパの水素輸入のハブになることを目指している。そのために、世界各国から船で水素を受け入れ、欧州の近隣諸国に供給するためのインフラ整備や供給ネットワークの構築を進めている。

チリとオーストラリアは再生可能エネルギー資源が豊富にあることから、他国に比べて大量かつ安価にグリーン水素を生産できる国として関心が高まっている。両政府は水素に関する国家戦略を打ち出しており、グリーン水素の生産と輸出を強化することで、国際的な競争力を高める狙いだ(2020年5月8日記事11月12日記事参照)。

ロッテルダム港湾局のアラード・カステレイン最高経営責任者(CEO)は「グリーン水素の国際的な連携は生産国と受け入れ国の双方にとって有益だ。グリーン水素への転換は気候変動を止めるために重要であると同時に、企業と経済の持続可能な成長にとっても重要だ」と述べた。

ロッテルダム港が2020年5月に公表した「水素マスタープラン外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」によると、欧州域内で消費されるエネルギーの約13%がロッテルダム港を経由して供給されている。カステレインCEOは、欧州グリーン・ディールの目標を達成するためには、欧州は水素を輸入しなければならないが、水素の生成方法はグレー水素(注2)からグリーン水素に移行するとみていると述べ、ロッテルダム港はグリーン水素の新しいサプライチェーン構築を促すことでこの移行を実現したいとの考えを示した。ロッテルダム港湾局はこれまでに、アイスランドやポルトガル、モロッコ、オマーン、ウルグアイなどとも今回同様の実現可能性調査を実施している。ロッテルダム港は2050年までに年間2,000万トンの水素を供給することを目標に定めている。

(注1)再生可能エネルギー由来の水素。

(注2)化石燃料由来の水素で、二酸化炭素の排出を伴う。

(山根夏実)

(オランダ、チリ、オーストラリア)

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