オーストラリア政府、水素産業支援のため3億豪ドルのファンドを設立

(オーストラリア)

シドニー発

2020年05月08日

オーストラリア連邦政府は5月4日、水素の生産および輸出において世界をリードするため、新たに3億オーストラリア・ドル(約204億円、豪ドル、1豪ドル=約68円)のファンドを設立した、と発表した。

「アドバンシング・ハイドロジェン・ファンド」と名付けられたこのファンドは、2019年11月に策定された「国家水素戦略」の優先事項に基づき、水素の生産、輸出や国内サプライチェーンの開発、水素ハブの設置、水素の国内需要創出などの分野において実施されるプロジェクトに資金を提供する。ファンドの運営は、これまで77億豪ドル以上をクリーンエネルギー分野に投資し、エネルギーや金融分野の知見を有するクリーンエネルギー金融公社(CEFC)によって実施される。

また、連邦政府は2020年4月、再生可能水素(再生可能なエネルギー源を使用して生産される水素)による実証事業を支援するため、再生可能エネルギー庁(ARENA)による7,000万豪ドルの資金調達ラウンドの実施を発表している。実証の実施に当たっては、特に、再生可能エネルギーを利用した水電解による水素の生産について、技術的および商業的な可能性を検証することを目的としている。

エネルギー・排出削減担当相のアンガス・テイラー氏は、「H2アンダー2」(水素1キログラム当たり2豪ドル以下とする価格目標)を掲げており、「水素が他のエネルギー減に対して競争力を持つために重要な目標値で、これらの取り組みは目標達成に寄与する」として期待を寄せた。

国家水素戦略PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は、2030年までにクリーンで、革新的で、競争力があり、安全な水素産業を創出し、現出しつつある水素経済において、オーストラリアが世界的な水素大国となることを目指して策定された。連邦政府は2015年以降、水素プロジェクトとサプライチェーンに1億4,600万豪ドル以上を拠出したとしており、その代表例として、日本との協力事業の「褐炭水素プロジェクト」が挙げられている(2018年4月24日記事参照)。

(住裕美)

(オーストラリア)

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