全国に4カ所の新たな貿易・投資促進拠点を設立

(英国)

ロンドン発

2021年03月24日

英国のエリザベス・トラス国際通商相は3月23日、貿易と投資の促進のためにスコットランド、ウェールズ、北アイルランド、イングランド北東部に4つの新しい「貿易・投資ハブ」(注)を設立することを発表した。

同拠点は、英国のEU離脱(ブレグジット)後、輸出を促進し、将来の自由貿易協定(FTA)を含む英国の通商政策の恩恵を全国で広く享受できるようにするための新たな戦略の一環として設立される。各地の貿易・投資ハブには輸出と投資の専門家チームを配置し、英国企業に以下を提供する。

  • 海外の新市場への輸出可能性の最大化と取引の拡大に向けた支援や相談対応
  • インド、米国、日本などの主要市場へのより良いアクセスの提供
  • 国際通商省(DIT)のFTA関連事業への直接の参画機会提供

これらを通じ、輸出事業者のインド太平洋地域など成長市場への販路拡大などを後押しし、「新型コロナ禍」からの回復につなげる。3月初めの政府調査によると、輸出産業は全国で650万人の雇用を支えており、うち74%はロンドン以外の地域のものという結果も出ており、これら地方都市の事業者を積極的に支援する。さらに、投資誘致の役割も担い、2020年11月に設置した投資局(Office for Investment)(2020年11月16日記事参照)と連携して、対内投資を全国各地に広めることを目指す。

トラス国際通商相は「貿易・投資ハブは、国の隅々に投資を向けることができ、輸出業者は、品目を問わず、最も急速に成長している市場へ販売するために必要な専門知識を得ることができる。英国の全ての地域に通商政策の利益をもたらし、英国の輸出と雇用主導の回復に貢献する」とコメントし、貿易・投資ハブ設立の意義を強調した。DITは、2025年までに4カ所合わせて550人のスタッフを配置し、2030年までに750人に増やしたいとしている。

(注)スコットランドの首都エディンバラ、ウェールズの首都カーディフ、北アイルランドの首都ベルファスト、イングランド北東部ダーリントンの4カ所。このうち、2020年9月に貿易ハブとして設置されたエディンバラの拠点は、今回の発表により人員が大幅に増加される。

(宮口祐貴)

(英国)

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