カナダの2020年対日農林水産品輸出、前年比2.3%減に

(カナダ、日本)

トロント発

2021年03月11日

カナダ統計局が3月5日に発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした2020年貿易統計によると、カナダの対日農林水産品(HS01~23類、44類合計)輸出額は、前年比2.3%減の56億3,213万カナダ・ドル(約4,843億6,318万円、Cドル、1Cドル=約86円)だった。2020年の対日輸出総額に占める農林水産品の割合は45.6%だった。

HSコード2桁の商品分類別輸出額では、02類の肉類が前年から横ばいの17億3,978万Cドルで首位となった(添付資料表参照)。続いて、12類の油糧種子(15億6,332万Cドル、前年比9.4%増)、10類の穀物(8億5,902万Cドル、19.7%増)が好調だったが、その一方で、44類の木材(7億6,908万Cドル、28.2%減)は減少した。農林水産品の対日輸出額に対する品目別の寄与度でみても、10類の穀物(2.5ポイント)の好調さを、44類の木材(マイナス5.2ポイント)が相殺する結果となった。

環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)が2018年に発効し、カナダの輸出企業に追い風となっている。主要輸出品目の牛肉に対する日本の輸入関税は、発効時に38.5%から27.5%に下がり、16年目までに段階的に9.0%まで引き下げられる。小麦においては、新設された4万トンの無税輸入枠が7年目までに5万3,000トンに拡大され、日本政府が輸入時に徴収する差益であるマークアップが9年目までに45%削減される。さらに、大麦においても、新設された2万5,000トンのTPP枠が9年目までに6万5,000トンに拡大され、マークアップが9年目までに45%削減される。

一方、木材も品目により、即時関税撤廃などのCPTPP発効の恩恵を受けてはいるものの、日本の需要減に伴い輸出が減少したものとみられる。カナダ林産品の普及活動を行う非営利業界団体のカナダウッドは、2021年3月1日付のマーケット・レポートで「2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響により日本の住宅市況が鈍化した」と報告した。また、森林資源を管轄するカナダ天然資源省は「日本は重要な市場で、高付加価値木材製品や住宅構造用木材が特に消費されているが、人口減少と経済停滞に伴い近年、需要は弱まっている」と解説し、必ずしも木材需要減が新型コロナウイルスによる一過性のものではないとの認識も示している。

2020年のカナダの対日農水産品輸入については、2021年3月11日記事参照

(飯田洋子)

(カナダ、日本)

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