日・インド知財当局、特許協力条約に基づく国際出願の相互管轄化開始へ

(インド、日本)

ニューデリー発

2021年03月22日

日本の特許庁(JPO)は3月16日、インド特許意匠商標総局(CGPDTM)を傘下とするインド商工省産業国内取引促進局(DPIIT)との間で、JPOとCGPDTMがそれぞれ国際調査機関(ISA)と国際予備審査機関(IPEA)として、両国出願人による特許協力条約(PCT)に基づく国際出願の相互管轄化を開始することに最終合意したと公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(注)。12日に開催された第4回日印知財評価会合で、糟谷敏秀・特許庁長官とモハパトラ・インド商工省DPIIT次官との間で確認したもので、7月1日の開始を予定している。

この取り組みにより、日本の企業などは国際特許出願を行う際に、ISA/IPEAであるCGPDTMに対して国際調査報告書(ISR)/国際予備審査報告書(IPER)の作成を申請することが可能となる。また、当該企業などはCGPDTMが作成したISR/IPERに基づき、インド国内の特許審査段階に移行する際に、インドでの早期特許審査制度を利用することが可能となる。一方、インドの企業などは、JPOの迅速で質の高い特許審査能力を活用してISR/IPERを得ることができ、インド企業の日本を含む各国への進出を知財の面から下支えすることにつながると期待される。

日印知財評価会合は、2015年締結の両国間の知財協力覚書(MoU)の下で、知財協力の進捗を定期的にレビューする機会として2017年から毎年度開催されており、今度で4回目となる。今回の会合ではこのほかに、特許審査ハイウェイ(PPH)試行プログラム(2020年11月30日記事参照)の運用などの改善など、両国審査実務/ITインフラ開発に関する情報や経験共有に係る協力促進についても議論を深めた。

(注)PCT国際出願制度とは、出願人が複数の国に特許出願する際に、1つの出願書類を、受理官庁(RO、例えば、出願人が日本国民の場合はJPO)に提出することによって、全てのPCT締約国に同時に出願したことと同じ効果を与える制度。当該国際出願では国際調査機関(ISA)による国際調査が行われ、出願人が請求する場合には、国際予備審査機関(IPEA)による国際予備審査が行われる。

(武井健浩)

(インド、日本)

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