AMLO大統領、バイデン米大統領とオンライン会談、移民や気候変動対策で協力確認

(メキシコ、米国)

メキシコ発

2021年03月04日

メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)大統領は3月1日、米国のジョー・バイデン大統領とオンライン形式で会談を行い、移民政策や新型コロナウイルス感染抑止、経済の再活性化、気候変動対策の分野で協力することを確認した。

バイデン大統領は「メキシコは就任後に電話会談を行った2番目の国であり、首脳会談も2番目となったが、これは偶然ではなく、われわれの関係の重要性を表している」とし、「両国の間には長く複雑な歴史があり、必ずしも常に完璧な関係にあったとは言えないが、多くの場面で両国が力を合わせたことで前進し、安全がもたらされてきた。われわれは協力することでより強くなれる」と結束を呼びかけた。また、バラク・オバマ政権時に、米国はメキシコを「国境の南側にある国」ではなく、対等な相手として扱うことを約束したと述べ、米国社会でプレゼンスが拡大しているヒスパニックの60%をメキシコ系が占めていることにも言及した。

これに対しAMLO大統領は「両国は国境を接しているだけでなく、経済や貿易、文化、そして友情でつながっている」と応じた。

同日発表された共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、移民は経済を支え、文化的多様性を高め、イノベーション精神をもたらすとされ、安全かつ尊厳が守られるかたちで受け入れられるよう政策を実施すると記載した。新型コロナウイルスの影響に関する対策については、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に基づいて経済の再活性化を目指すことなどを盛り込み、気候変動問題では、2021年4月に米国で開催される気候サミットへの協力などを記した。

新型コロナワクチンの供給や、エネルギー改革法案への言及なし

AMLO大統領が米国で製造されている新型コロナウイルスワクチンの一部をメキシコも調達できるようバイデン大統領に依頼すると報道されていたが、会談の開始直前にジェン・サキ米大統領報道官が記者会見で「全ての米国民へのワクチン接種が最優先課題であり、現時点での供給はない」と述べたため、ワクチン供給の協議は行われなかった。また、米国商工会議所などが懸念を示していた電力産業法改正法案(2021年2月8日記事参照)について、AMLO大統領は「米国はわれわれの主権を尊重しているので、改正法案が話題に上ることはない」との見方を事前に示しており、実際に米国側からの言及はなかった。

(松本杏奈)

(メキシコ、米国)

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