第6弾となる200億リンギ相当の景気刺激策を発表

(マレーシア)

クアラルンプール発

2021年03月25日

マレーシアのムヒディン・ヤシン首相は3月17日、経済回復に向けた継続的な支援の一環として、第6弾となる景気刺激策「国民および経済を力づけるための戦略プログラム(PEMERKASA)」を発表した。同プログラムは、200億リンギ(約5,200億円、1リンギ=約26円)相当で、うち政府による財政的注入は110億リンギとなる。新型コロナウイルスのワクチン接種プログラムの拡充、中小企業や特定産業向けの資金援助などの企業支援策、低所得者層を中心とした生活支援策など、20の戦略が盛り込まれた。

ワクチン接種加速のための追加資金

今回のPEMERKASAは、マレーシア政府の新型コロナウイルス対策である「6R戦略」の第5段階に当たるという。6R戦略とは、(1)移動制限令の実施(Resolve)、(2)景気刺激策による国民・産業支援(Resilience)、(3)管理下での経済再開(Restart)、(4)回復計画の実施(Recovery)、(5)経済の全面的な復興(Revitalize)、(6)既存の経済構造の改革・ニューノーマルへの移行(Reform)の6段階のことだ。

新型コロナウイルスのワクチン接種については、「国家ワクチン接種プログラム」が2月26日から開始されており、段階的な接種計画を進めている。マレーシア政府は、国民の8割への接種目標の期限を、当初の2022年第1四半期から2021年12月に早めるため、PEMERKASAにおいて同プログラムに係る予算を30億リンギから50億リンギに増額する。

賃金補助制度が条件付きで延長

企業支援策では、地場の中小零細企業向けに実施している低金利ローンや一時金の拡充に加え、自動化、インダストリー4.0の技術導入、デジタル化を進める企業に対する支援に重点を置き、これらの技術導入に対する補助金プログラムへの追加資金を投入する。外国企業も使える支援策である「賃金補助制度」についても、1月に申請が始まった賃金補助制度第3弾(PSU3.0)の補助期間を、観光業、卸・小売業など、政府による制限が特に厳しかった業種を対象として3カ月間延長する(2021年1月25日記事参照)。

そのほかでは、小規模インフラ事業の実施加速のための追加資金投入、観光業に対する観光税やサービス税の援助の延長なども発表された。

(田中麻理)

(マレーシア)

ビジネス短信 63f35f32cab21b7a