米商務省、半導体サプライチェーンでのリスクと政策提言でパブコメ募集
(米国)
ニューヨーク発
2021年03月17日
米国商務省産業安全保障局(BIS)は3月15日、半導体製造と先端パッケージングのサプライチェーンにおけるリスクと、それに対応するための政策提言に関して、4月5日までパブリックコメントを募集すると官報で公示した(注)。2月24日に発表された大統領令(2021年2月26日記事参照)と、2021会計年度国防授権法(NDAA)に基づく要請を受けたものとなる。
2月の大統領令14017は、重要な製品・材料のサプライチェーン強化に向けて、関連省庁の長に100日以内に、各分野のリスクを特定し、それに対応するための報告書を大統領に提出するよう指示している。そのうち、半導体製造と先端パッケージングに関しては、商務長官が担当することになっている。さらに、官報によると、2021年度NDAAの第99章(Title XCIX)「米国のための半導体製造への支援となるインセンティブの創設」でも、商務長官は国防のため米国内のマイクロエレクトロニクス産業のサプライチェーンの現状を精査することを求めている。BISは半導体製造と先端パッケージングのサプライチェーンに関して、主に次の点に係るコメントを求めるとしている。
- 同サプライチェーンの基盤となる重要かつ不可欠な製品・素材
- 半導体製造に必要な製造能力など(電子機器設計の自動化ソフトウエアや先端集積回路パッケージングの技術・能力を含む)
- 競争力のある半導体のエコシステムを持続可能とするために必要な技能や人材の存在(国内での教育や半導体製造業における労働者の技能、スキルギャップとそれを埋めるための機会などを含む)
- 同サプライチェーンを混乱させ得るリスクや想定される有事〔防衛、諜報(ちょうほう)、サイバー、国土安全保障、衛生、気候、環境、自然、市場、経済、地政学、人権または強制労働に関するリスクを含む〕
- 国家・経済安全保障と緊急事態対応を支えるための同サプライチェーンの強靭(きょうじん)性および製造能力
- 米国での同サプライチェーンの維持・発展に失敗した場合に、その他の産業に与え得る影響〔例えば、食料資源、送電網、公益事業、情報通信技術、航空宇宙応用、人工知能(AI)、第5世代移動通信システム(5G)インフラ、量子コンピューティング、スーパーコンピュータ開発、選挙における安全確保〕
- 同サプライチェーンの強靭性を確保するために推奨される政策または行政規則や法令の変更(例えば、サプライヤーの国内回帰、同盟国と協力した代替サプライチェーンの開発、余剰製造能力の構築、デジタル製品の脆弱性や気候変動がもたらすリスクへの対応策)
- その他、同サプライチェーンの現状の精査に関するコメント
(注)コメントは、連邦政府ポータルサイトのドケット番号BIS-2021-0011から提出可能。企業秘密を含む場合はその旨を明示する必要がある。
(磯部真一)
(米国)
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