電子サービス税の概要書が公開、簡易VATシステムで納税へ

(タイ)

バンコク発

2021年02月24日

タイ歳入局は2月11日、2021年9月から開始される電子サービス税(2021年2月19日記事参照)制度の概要書を公開PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。導入の背景など制度概要は以下のとおり。

〇背景:デジタル技術はサービス提供形態に変化をもたらし、外国の事業者はインターネットやプラットフォームを通じて、多くのタイ人消費者に電子サービス(オンラインゲーム、音楽、映画など)を提供可能となった。タイの人口の75%以上がインターネットを利用しており(2020年)、英国の調査会社グローバルウェブインデックスの調査によると、16~64歳のタイ人の50%以上がオンラインで映画や音楽を楽しんでいる。オンラインサービス市場は成長を続けており、カテゴリー別の年間成長率は広告が16%、音楽が9%、ゲームが8%となっている。

〇不平等待遇:これまでタイに拠点がない外国の電子サービス事業者は付加価値税(VAT)の納付対象外となる一方、国内の電子サービス事業者は対象だった。価格競争上、不平等だった。

〇国際標準に基づいた動き:VAT制度を有する60カ国以上が、外国の電子サービス事業者からのVAT徴収の効率化を図るため、OECDガイドラインに基づきVAT関連法を改正している。

〇対象事業者:国外からオンラインでサービス提供するビジネスに適用される(ダウンロード、仲介、広告など)。グーグル、フェイスブック、ネットフリックス、ユーチューブなどを含む、タイ国内で年間180万バーツ(約630万円、1バーツ=約3.5円)以上の収入がある事業者が対象。

〇納税:対象事業者は登録を行い、VAT申告書を提出し、月次で送金・支払いをする義務を負う。納税は開発中の「電子サービス税向け簡易VATシステム(SVE)」を通じて行う。同システムは支払いのみ可能で、タックスインボイスやインプット税レポートなどの作成や記入は不要。

〇税務調査・執行:以下のような方法で行われる。

  1. 事業者との面会、調査・税務評価のための書簡発行。
  2. 金融機関などへの取引情報の提供要求。
  3. VAT登録者リストを公開する(VAT登録を拒否する企業には社会的制裁が加わる)。

なお、今回の電子サービス税の導入より、年50億バーツの税収が見込まれるという。

(シリンポーン・パックピンペット、北見創)

(タイ)

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