韓国・カンボジアのFTAが最終妥結

(韓国、カンボジア)

ソウル発

2021年02月09日

韓国産業通商資源部は2月3日、韓国・カンボジア自由貿易協定(FTA)が妥結し、共同宣言文に署名したと発表した。両国は2020年1月から共同研究の開催など必要な手続きを踏み、同年7月から4回にわたって交渉していた(2020年7月15日記事参照)。同協定は韓国にとって最短の交渉期間(7カ月)で締結されたFTAとなり、交渉の全プロセスを非対面で進めた。

同部は、今回の妥結が韓国の「新南方FTAネットワーク」の拡大や、韓国企業の安定的な貿易投資の基盤構築に寄与すると期待感を示した。また、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協定との相互補完的な効果を導出すると予想し、新型コロナウイルスによりリージョナルバリューチェーン(RVC)が再編されている中、ベトナムや中国を代替するカンボジアへの進出が円滑になるとした。

RCEP協定と今回のFTAにより、韓国は全体品目の95.6%、カンボジアは93.8%の関税を撤廃する。韓国の対カンボジア最大輸出品目である貨物自動車(関税率15%)や、乗用車(35%)、建設重機械(15%)のほか、イチゴ(7%)、ノリ(15%)などの農林水産物に対する関税撤廃で妥結し、カンボジア市場内の競争力を確保した。

繊維品目では、カンボジアは織物と編み物(7%)など、韓国は衣類(5%)などに対する関税を撤廃し、相互貿易の拡大を図るとした。また、衣類品目に対する原産地基準を緩和(注)し、韓国企業の関連輸出が容易となる。

韓国とカンボジアの貿易は2017年に8億6,500万ドル、2018年に9億7,400万ドル、2019年に10億3,300万ドルと増加していたが、2020年は新型コロナウイルスの影響で8億8,500万ドルとなった(添付資料表参照)。

一方、両国間のさまざまな分野の協力を通じ、韓国企業がカンボジアの産業発展政策や公共投資計画に基づくプロジェクトへの参画と投資が可能となる。

(注)輸出国で「裁断・縫製」を行わなければ原産地と認められない要件を緩和。

〔諸一(ジェ・イル)〕

(韓国、カンボジア)

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