米議会、バイデン大統領の経済対策案を含む予算決議案を可決

(米国)

ニューヨーク発

2021年02月08日

米国連邦議会下院は2月5日、ジョー・バイデン大統領が就任直前の1月14日に提案した1兆9,000億ドル規模の経済対策案「米国救済計画」(2021年1月18日記事参照)を含む2021会計年度の予算決議案を賛成多数で可決した。上院は同日未明に予算決議案を可決済みで、今後は両院の予算委員会を中心に、「米国救済計画」に関する部分を法案にまとめる作業に移る。民主党は現行の失業保険の追加給付が失効する3月14日までに成立させる構えだ。

今回成立した予算決議には、歳出・歳入・財政赤字の変更に関する法案を迅速に審議することを可能にする「財政調整措置(リコンシリエーション)」に関する条項が含まれている。この措置を導入することで、法案は上院で審議される際、内容に反対する議員による議事妨害(フィリバスター)を受けることなく、単純過半数での可決が可能となる(注1)。

上院での予算決議案可決後、下院の民主党幹部は同案の採決をする前にバイデン大統領を訪問し、今後の法案策定の進め方について協議した。下院ではその直後に可決となった。

バイデン大統領は下院民主党幹部との会談時に、労働省が同日発表した雇用統計(2021年2月8日記事参照)が厳しい雇用情勢を示したことに触れた上で、「人々は実際に苦しんでおり、われわれはそれを救うことができる。彼らを救うことは、向こう10年間の米国の競争力を向上させることになる。大きなことを達成する機会を得た」と、早期の法案可決に期待を示した。

予算決議自体は大統領の署名を必要とはせず、予算の枠組みを決定するものとなる。バイデン大統領の経済対策案に含まれる失業保険の追加給付の上乗せ・延長や、個人向け現金給付の増額といった歳出を伴う政策を実行に移すには、今後、両院の予算委員会を中心にまとめる法案の可決が必要となる。また、財政調整措置を活用して法案を可決する場合、歳入や義務的経費に関する事項の扱いに限られるという制約があることから、連邦最低賃金の引き上げや地方政府への補助金などの扱いがどうなるかが注目される(注2)。

下院のジョン・ヤーマス予算委員長(民主党、ケンタッキー州)は決議可決後、「予算委員会は各委員会から2月16日までに法案を受け取ることを期待する」との声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出している。一方、上院共和党トップのミッチ・マコーネル少数党院内総務(ケンタッキー州)は2月4日、既にこの1年近くで新型コロナウイルス対策に2019年の連邦政府の全歳出額に匹敵する4兆ドルを投じていることを指摘し、「米国民は、彼らの必要性に基づいた次の対策のために、党派的な拙速なやり方ではなく、対話の機会が与えられるべきだ」と民主党の動きを牽制する声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出している。

(注1)上院では審議時間を制限するルールは存在せず、少数党は審議を長引かせることで投票を妨げる議事妨害が可能。ただし、上院規則に基づき60票の投票を得れば、審議時間に制約を課す「クローチャー動議」を可決できる。

(注2)連邦最低賃金の引き上げに関しては、上院での採決時に、新型コロナウイルスのパンデミックの間は引き上げを行わないとの修正条項が可決されたが、法的拘束力は持たないとされる。

(磯部真一)

(米国)

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