新型コロナワクチン接種が進む、水際対策はさらに強化

(英国)

ロンドン発

2021年02月18日

新型コロナウイルス感染が猛威を振るう英国で、明るい兆しが見えてきた。12月8日に始まったワクチン接種は2月13日、1回目の接種を終えた住民が1,500万人を突破。1月に公表したワクチン接種計画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで2月15日までに接種することを目指していた優先グループ1~4への接種(添付資料表参照)は計画どおり完了し、70歳以上の90%以上が接種を終えた。

ボリス・ジョンソン首相は14日、「英国全土に及ぶ驚くべき偉業」とツイート。翌15日の記者会見では、グループ5(65~69歳の住民)への接種に移行したことを明らかにした。首相はさらに「このペースを維持し、安定した(ワクチンの)供給を継続できれば、4月末までに50歳以上の住民など、グループ9までの全員にワクチンを提供できると期待している」と述べ、引き続き接種計画の実行に全力を挙げる考えだ。

1月上旬に6万人を超えた1日当たり新規感染者数(報告日ベース)は、足下では1万人前後まで減少。1月20日に1,820人を記録した1日当たり死者数も、2月16日には799人まで半減した。こうした中、与党議員の一部をはじめ、厳しい行動規制の緩和を求める声も高まっているが、新型コロナウイルスによる入院患者数は2月14日時点で2万1,001人と、いまだ第1波のピーク時(2020年4月12日の2万1,687人)と大差ない水準にあり、規制緩和に慎重な声もみられる。ジョンソン首相は会見で「このロックダウンを最後にしたい」とコメント。翌週に正常化へのロードマップを示す考えを明らかにした。

入国後の検査2回を義務付け

国内情勢が好転する一方、政府は新型コロナウイルスの輸入感染を防ぐため、1月に相次いで強化した水際対策(2021年1月14日1月18日記事参照)をさらに強化している。2月15日から、南部アフリカや中南米など入国制限国からの渡航者(注)に対し、10日間の自主隔離を政府指定の宿泊施設で実施することを義務化。入国者は渡航前に宿泊、食事、検査などのパッケージを専用の予約サイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで手配、大人1人1,750ポンド(約25万6,550円。1ポンド=約146.6円)を自己負担する。スコットランドに直接入国する場合は、英国と共通旅行区域(CTA)を形成するアイルランド、チャンネル諸島、マン島を除く全ての国・地域からの渡航者が対象となる。

15日からはさらに、CTA以外の原則として全ての国・地域からの入国者に対して、渡航前検査による陰性証明の提示と10日間の自主隔離に加え、「入国後2日目かそれ以前」と「8日目かそれ以降」の2回の検査受検も義務付けた。料金は210ポンドで、渡航前に予約サイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで手配する必要がある。

(注)英国・アイルランド国民、英国長期滞在ビザ保有者、永住者は、入国制限国に滞在または経由した場合でも英国に入国できる。詳細は保健・ソーシャルケア省の指定施設での自主隔離に関するガイダンス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照。

(宮崎拓、杉田舞希)

(英国)

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