入国者の自主隔離免除制度を停止、日本からの渡航者も対象に

(英国)

ロンドン発

2021年01月18日

新型コロナウイルス感染症をめぐり、国内での感染拡大に加え、海外からの変異種流入に懸念を強める(2021年1月14日記事参照)英国政府は、同感染症が低水準に抑えられている国や地域からの入国者に入国後10日間の自主隔離を免除する制度(Travel Corridors外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を、英国全土で当面停止することを発表し、1月18日午前4時から施行した。この結果、英国と共通旅行区域(CTA)を形成するアイルランド、チャンネル諸島、マン島を除く、全ての国・地域からの渡航者は、出国前72時間以内の感染検査による陰性証明の提示(注1)と、英国入国後の10日間(注2)の自主隔離が必要になった。2020年7月の制度開始(2020年7月6日記事参照)以降は一貫して免除されていた日本からの渡航者も、再び対象になった。

イングランドで2020年12月5日から始まった企業幹部の自主隔離部分免除(2020年12月8日記事参照)などの弾力的措置も停止された。広告業、報道、舞台芸術関係者なども対象から外れ、免除対象となる職業は医療、交通、社会インフラ、プロスポーツなどに制限。他方、5日間の自主隔離後の検査で陰性なら隔離を終了できる制度(Test to Release外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は、引き続き選択できる(注3)。

グラント・シャップス運輸相は1月15日、「世界各地で憂慮すべき新たなウイルス変異種が発見されつつあり、新型ウイルスとの闘いは全く新しい局面に入っている」と述べ、免除措置の停止の背景を説明。他方、野党や専門家らは、政府の対応の遅さに対する批判に加え、これまでも自主隔離義務が実際に順守されているのかを問題視し、徹底する必要を指摘する声も上がっている。

英国の1日当り新規感染者数(報告日ベース)は、1月8日に6万8,053人を記録して以降、緩やかに減少に転じた。しかし、死者は1月6日以降、集計の都合で少なくなる日曜と月曜を除き連日1,000人以上で推移。1月14日時点の新型ウイルス感染による入院患者は3万7,475人と、第1波のピーク時(4月12日の2万1,684人)を7割以上も上回っており、なお増加基調が続いている。

(注1)検査設備がないなどの理由で、感染検査受診が困難な一部の英国海外領土からの渡航者は免除。

(注2)出国または経由地を出発した日から起算して10日間。詳細は政府ガイダンス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照。

(注3)入国制限の対象となった国・地域(2021年1月14日記事参照)からの入国が引き続き認められている英国・アイルランド国民、英国長期滞在ビザ保有者、永住者とその同居家族は対象外。

(宮崎拓)

(英国)

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