日本とジョージアが投資協定に署名、投資環境のさらなる改善に期待

(日本、ジョージア)

国際経済課

2021年02月02日

日本とジョージアは1月29日、日・ジョージア投資協定に署名外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。今後、両締約国は国内手続きを完了させ、その旨を外交上の経路を通して相互に通告する。双方の通告が受領された日のうち、いずれか遅い方の日の後30日目の日に本協定が発効する。両国は同日、新租税条約にも署名外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしており、両国間の投資環境のさらなる改善が期待される。

投資協定は、相手国における自国の投資家と投資財産を保護し、安定的で予見可能性の高い投資環境の枠組みを整備するものだ(注1)。日・ジョージア投資協定に含まれる主な規定は以下のとおり。

  • 2条:内国民待遇(自国の企業に与えている待遇よりも不利でない待遇を与えること)
  • 3条:最恵国待遇(第三国の企業に与えている待遇よりも不利でない待遇を与えること)
  • 4条:一般的待遇〔公正衡平待遇(適正な手続きを行う義務、恣意的措置の禁止、投資家の正当な期待の保護など)、十分な保護および保障〕
  • 6条:特定措置の履行要求の禁止
  • 11条:収用および補償(補償を伴わない収用の禁止)
  • 14条:資金の移転(海外送金の自由など)

本協定は、いわゆる「自由化型」の投資協定で、上記の規定は投資後の段階のみならず、投資財産の設立、取得または拡張といった投資許可段階にも適用される。他方、締約国は付属書(留保表)で列挙した分野・措置について、2条、3条、6条の適用を除外することができる点(ネガティブリスト)には注意が必要だ(7条)。

特定措置の履行要求の禁止では、WTOの貿易に関連する投資措置に関する協定(TRIMs)の水準を超える、新たな規定が盛り込まれた。具体的には輸出要求、国内販売制限、役員国籍要求、ロイヤリティ規制、事業本部設置要求、自国民雇用要求、独占的供給要求が禁止された。そのほか、投資家と国家との間の紛争処理(ISDS)規定(23条)も設けられている(注2)。

なお、日本はCIS地域で、トルクメニスタン、キルギス、タジキスタン、アゼルバイジャンとも投資協定の締結に向けて交渉を継続している。

(注1)投資協定の概要については、「『世界は今-JETRO Global Eye』 海外進出する企業を守る こんなときに役立つ『投資協定』(動画)」を参照されたい。そのほか、経済産業省のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは日本の投資関連協定の締結状況やその活用事例を確認できる。

(注2)ただし同条は、投資財産の設立、取得または拡張に関する投資紛争について、仲裁の付託事項から除外している(23.4条)。

(山田広樹)

(日本、ジョージア)

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