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コロナ禍におけるASEANと中国の南シナ海をめぐる争い

(ASEAN、中国、米国)

ジャカルタ発

2020年06月23日

インドネシアのルトノ・マルスディ外相は6月18日に開催された記者会見で、同月12日に中国と対立する南シナ海の海洋権益問題に関する書簡を国連本部に送り、「国際法上、中国との間において領海に関する交渉を行う法的根拠がない」と主張したことを明らかにした。インドネシアは中国政府から南シナ海の海洋権益問題に関して、話し合いでの解決を提案されていたが、事実上拒否したかたちだ。

南シナ海においては、インドネシア、ブルネイ、マレーシア、フィリピン、台湾、ベトナムが中国との漁業権をめぐる問題などを抱えている。インドネシアに関しては、インドネシア北端のナトゥナ諸島付近でインドネシアの排他的経済水域(EEZ)と中国が領有権を主張する「九段線」の一部が重なっており、対立が続いている。2019年末以降は、インドネシアEEZ内で中国の漁船の操業が目立っており、インドネシア海軍が軍艦を配備するなど緊張が高まっている。インドネシアは一貫して1982年に採択された国際海洋法条約に基づき、「交渉の余地はない」という立場を一貫して主張しており、今回の国連本部への書簡は立場をあらためて明確することとなった。

「コロナ禍」においても、南シナ海をめぐって中国と海洋権益を主張する国との間で対立が起きている。4月にベトナム政府は、ベトナムの漁船が中国海警局の船に沈められたとして抗議しており、マレーシア近海では中国の調査船がマレーシアの国営石油会社の探査船を追尾するという事象が発生している。米国のポンペオ国務長官は4月22日のプレス声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、「(中国共産党は)軍事的圧力を行使し,南シナ海における隣国を抑圧している」と述べ、「コロナ禍」における中国の南シナ海における行動を強く批判した。一方、中国の王毅外相は5月24日、「コロナ禍を利用して中国が南シナ海への進出を強めているという主張には根拠がない。むしろ南シナ海を通してASEAN諸国に医療物資などを運んでいる」とし、自国に対する批判をかわし、ASEAN諸国との友好関係を強調している(シンガポール紙「ストレーツ・タイムズ」5月24日)。

インドネシア国立防衛大学の安全保障アナリスト、ヨハネス・スライマン氏は、「中国としてはASEAN諸国が南シナ海に関する問題で団結することを恐れており、中国が常に2国間での対話にこだわるのはそのためだ」と分析する(「チャンネル・ニュース・アジア」6月19日)。

(上野渉)

(ASEAN、中国、米国)

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