東南アジアへの2020年の対内直接投資、前年比31%減、シンガポールへの減少響く、UNCTAD試算
(ASEAN、シンガポール、タイ、インドネシア、ベトナム、マレーシア、フィリピン)
アジア大洋州課
2021年02月04日
国連貿易開発会議(UNCTAD)は1月24日に発表した報告書(2021年1月26日記事参照)で、東南アジア諸国への対内直接投資(FDI)の合計が前年比31%減の1,070億ドルになるとの試算を発表した。同地域で最大のFDI流入国であるシンガポールをはじめ、フィリピンを除く主要国のFDI減少が影響した。
個別国で見ると、シンガポールが前年比31%減の580億ドルとなる。外国企業による東南アジア各国での企業買収活動が大幅に減速した結果、同国のクロス・ボーダーM&A(国境をまたぐ合併と買収)が86%減少したとした。続いて、インドネシアが24%減の180億ドル、ベトナムが10%減の140億ドル、マレーシアが68%減の25億ドル、タイが50%減の15億ドルと、軒並み減少する。一方、フィリピンはトレンドに反し、29%増の64億ドルとした。タイの半減については、英国小売り大手のテスコの売却(99億ドル)が影響したと指摘。なお、テスコは2020年3月、同社のタイとマレーシアの小売り事業について、タイのCPグループに売却することで同グループと合意したと発表している(同社プレスリリース)。
東南アジア地域でのグリーンフィールド投資(投資先国に新たに法人などを設立する形態の投資)は14%減だったが、世界の開発途上国全体で46%減の中、他の地域と比べて落ち込みが緩やかだったとし、開発途上国地域の中では最大の700億ドル以上が新規登録されたとした。
今後について、シンガポールで第3四半期(7~9月)にプロジェクト数が増加しているため回復の兆しが出ているとし、2020年11月に署名された東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協定がFDIの回復を後押しする可能性を指摘した。
(三木貴博)
(ASEAN、シンガポール、タイ、インドネシア、ベトナム、マレーシア、フィリピン)
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