ATIGA原産地自己証明制度、インドネシアでの利用方法が明らかに

(インドネシア、ASEAN)

ジャカルタ発

2021年02月02日

ASEAN加盟国において2020年9月20日から、ASEAN物品貿易協定(ATIGA)の修正議定書の運用が開始され、それに伴い、認定輸出者(ES)による原産地自己証明制度が開始された(2020年10月13日付地域・分析レポート参照)。インドネシア商業省は2021年1月27日、ジェトロが開催したオンラインセミナーにおいて、本制度の利用を日系企業に呼び掛けるとともに、利用に際しては各企業担当者の原産地規則に対する理解を求めた。

オンラインセミナーは、ジェトロが主催し、インドネシア商業省とASEAN事務局の共催で、在インドネシア日系企業向けに実施された。商業省のデシー・アンディアニ貿易分析官が本制度の利用方法や注意点について説明を行った(添付資料参照)。デシー氏の説明によると、自己証明制度を利用するためにはe-SKA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(注1)と呼ばれる電子システム上で、ESとなる申請を行う必要があり(注2)、書類に不備がない場合、最長55日間の手続きを経て、ESとして承認されるとのことだ。また、ES申請時には、原産地申告を行う物品(HSコード6桁を含む)を登録する必要があり、登録された物品以外は、自己申告での原産地証明を行うことができない点も注意が必要だ。ESとして登録後、輸出時にe-SKA上で商業インボイスやパッキングリストのアップロードを行い、そこに原産地自己証明が自動的に付与されることで、ATIGAの特恵関税が利用可能となる。

日系企業による利用は現時点では限定的

デシー氏は、インドネシアにおけるES登録企業数は約60社で、日系企業による利用は数社にとどまっているとした上で、「従来の原産地証明書であるフォームD、eフォームDの利用時よりも、取得までのリードタイムを短縮できるので、ぜひ本制度を活用してほしい」と日系企業に呼び掛けた。一方、同制度の利用によって、第三者証明から自己証明に変わることを念頭に、「利用企業における担当者は原産地規則を十分に理解し、輸出規則に対するコンプライアンス意識をしっかりと持ってほしい」と注意を促した。

(注1)インドネシア商業省の原産地証明書オンライン申請・発給システム。

(注2)企業がES認定を受けるには、前提として同社が既に登録輸出者(ER)として登録されている必要がある。ERとなるには、商業省から委託を受けた原産地証明書発給機構(IPSKA)への申請が必要。

(上野渉)

(インドネシア、ASEAN)

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