バイオ・循環型・グリーン(BCG)推進に予算割り当て、首相自ら奨励アピール

(タイ)

バンコク発

2021年02月18日

タイ国立科学技術開発庁(NSTDA)のナロン・シリルーウォラクン長官は2月9日、バイオ・循環型・グリーン(BCG)経済の推進に向けて、2021年に60億バーツ(約210億円、1バーツ=約3.5円)の予算を充てることを明らかにした。2月10日付「バンコク・ポスト」紙などが伝えた。同予算の半分はイノベーションの東部経済回廊(EECi)プロジェクトに使用され、ラヨン県で建設中のイノベーション・ハブを2021年中に完成させ、バイオリファイナリー(注)やスマート製造試験センターなどの施設を備え付ける。タイは1月にBCG経済モデルを国家戦略に据えることを発表していた(2021年1月21日記事参照)。

国内ではBCG経済や環境への関心が急速に高まっている。民間調査機関クルンタイ・コンパスによると、BCG経済には今後5年で8,200億バーツの投資が必要と試算されている(「バンコク・ポスト」紙2月10日)。同社はタイ企業に対して、今後は世界的なトレンドに合わせ、地球温暖化対策として温室効果ガスを削減し、コスト効率よく天然資源を活用した循環型経済システムを開発し、バイオ技術やデジタル技術を適用した環境配慮型ビジネスに投資を行い、ビジネスを変容させていくよう推奨している。

BCGをプレーアップする発表が増加

プラユット首相は2月9日にBCG経済に関連する展示会を訪れ、バイオメタノール製品や薬草などを視察し、BCG経済に関連する全ての企業に謝意を示し、「『中所得国のわな』を回避し、国内格差を是正するためには、農業廃棄物を製品へと変えて農家収入を向上させるなど、基礎産業を成長させる必要がある。廃棄物を燃やす際に排出される二酸化炭素やPM2.5の削減にも効果が期待できる」と述べた(政府発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

同首相は2月10日、上場企業によるBCG産業に取り組む起業家に対する支援の奨励を発表したほか(政府発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますBO発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))、15日にはタイでの電気自動車生産拠点の設置を決定した長城汽車の幹部を官邸に招いて、「石油消費の削減に向けた技術革新を推奨するBCG政策に沿う投資だ」と賞賛する(政府発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)など、BCG政策をプレーアップする発表が増えている。

(注)再生可能資源のバイオマスを原料に、バイオ燃料や樹脂などを製造するプラントや技術のこと。

(北見創、シリンポーン・パックピンペット)

(タイ)

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