プラユット首相、バイオ・循環型・グリーン(BCG)経済を国家戦略に

(タイ)

バンコク発

2021年01月21日

タイのプラユット首相は1月13日、バイオ・循環型・グリーン(BCG)経済委員会を開催し、BCG経済を国家戦略モデル(BCGモデル)に据えると表明した。BCGモデルでは、生物多様性や文化的多様性に重点を置きつつ、(1)食品と農業、(2)医療と健康、(3)バイオエネルギー、バイオマテリアル、バイオケミカル、(4)観光、クリエーティブ経済の4分野に焦点を当てる。

政府発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、プラユット首相は「タイは、農業国の一方で高所得国への発展を目指す中、BCGモデルを採用することで、新たな農産品による収穫最大化、農業手法や地域の最適化、廃棄物や化石エネルギーなどの削減を目指す」と述べた。

政府は今後、BCGを国家的課題として宣言する見込みで、BCGモデルを達成するための戦略計画を2021年から5年間にわたって実行する。知識と能力を持つ新しい世代がBCG経済の実現に向けた牽引役になると期待しており、農業や公衆衛生、観光など強みを持つ分野を生かし、タイ経済・社会の発展を目指す。

同戦略計画は2022年度予算編成の骨子となり、計画は政府方針に沿って実施される。今回の委員会で審議・承認された4つの戦略の概要は以下のとおり。

  • 戦略1:保全と利用のバランスを取りながら、資源基盤と生物多様性の持続可能性を推進する。
  • 戦略2:資本、資源、アイデンティティー、創造性、最新技術を用いて、共同体と草の根経済の能力を向上させる。「生物多様性」と「文化的多様性」を重視しつつ、地域を基盤とする発展可能性を「内側からの爆発」に活用し、生産チェーンをより高付加価値なものへと昇華させる。
  • 戦略3:知識、技術、イノベーションにより、BCG経済の下で産業における持続可能な競争力を向上・促進するとともに、「少ない方が豊か」という思想に基づいた環境に優しい生産システムを重視する。
  • 戦略4:世界的な変化に素早く対応する能力、免疫力を高め、影響を緩和する。

具体的な計画や政策内容は今後発表される見込みだが、タイ投資委員会は2020年7月にBCG経済への投資促進策を発表しており、投資誘致の観点では同政策がベースとなる(2020年9月15日記事参照)。

(北見創)

(タイ)

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