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ロシアからトルコ経由の天然ガスパイプラインを延長する「バルカン・ストリーム」が開通

(セルビア、ブルガリア、ハンガリー、トルコ、ロシア)

ウィーン発

2021年01月14日

セルビアの長年の悲願だった、ブルガリアからセルビアを経由しハンガリーに抜ける天然ガスパイプライン「バルカン・ストリーム」が2021年1月1日に完全開通した。開通式典には、セルビアのアレクサンダル・ブチッチ大統領のほか、アレクサンドル・ボツァン・ハルチェンコ駐セルビア・ロシア大使、トミスラブ・モミロビッチ建設・運輸・インフラ相、セルビア・ガス公社のドゥシャン・バヤトビッチ総裁らが出席した。

バルカン・ストリームは、ロシアから黒海海底を抜けて、トルコへ天然ガスを送る「トルコ・ストリーム」をセルビアまで延長するもの(2018年1月12日記事参照)。トルコ・ストリームは、全長約930キロの天然ガスパイプライン・プロジェクトで(2020年1月17日記事参照)、年間総輸送量315億立方メートルの天然ガスが2本のパイプラインを通じて、半分はトルコに、残りの半分は欧州に供給される。セルビア・ガス公社総裁によれば、セルビアには最大600万立方メートルの天然ガスがパラチン市、パンチェボ市、およびゴスポジチツィ村にある貯蔵拠点に供給され、将来的にはボスニア・ヘルツェゴビナにも供給されるようになるという(N1民放テレビ局1月1日)。

ブチッチ大統領は「バルカン・ストリームの開通により、セルビアのエネルギー安全保障を確保できると同時に、これまで天然ガス購入に当たり、1,000立方メートル当たり48ドルの通行料を支払ってきたが、今後はこれが12~14ドルまで下がる。今回の開通で、多くの地方自治体にも供給可能となることから、セルビアで工場建設を検討している投資家を引き付ける機会を得るだろう」とも述べた。

「トルコ・ストリーム」の前身となる「サウス・ストリーム」は、2008年にロシアがセルビアとも2国間協定を結び、2013年12月にはセルビア側の工事を着工(2013年12月9日記事参照)。しかし、EUは、ロシア天然ガス大手ガスプロムがガス流通の独占問題に抵触すること、また黒海の環境破壊につながる可能性があることを問題視して、セルビアはEU加盟交渉への影響を懸念し中断していた経緯がある。その後、2014年12月に「サウス・ストリーム」の中止を表明するとともに、黒海・トルコを経由する「トルコ・ストリーム」の建設にロシアとトルコが合意、2018年12月に「トルコ・ストリーム」のセルビアまでの延長(のちの「バルカン・ストリーム」)をロシアとセルビアが合意した。2019年2月には欧州エネルギー委員会が条件付きながら「トルコ・ストリーム」への接続工事を容認し、2019年4月にセルビア側の工事が再開。このほど完全開通の運びとなった。

(鈴木秀男)

(セルビア、ブルガリア、ハンガリー、トルコ、ロシア)

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