関税分類の変更に伴い、鋼材など特定品目の輸入で混乱

(メキシコ)

メキシコ発

2021年01月20日

メキシコ国税庁(SAT)は1月14日、12月28日以降に導入された新関税率表への移行(2020年11月19日記事参照)に伴い、特定品目の輸出入申告でエラーが発生していることを認め、エラー回避のための特別な申告方法を周知する情報告示PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を出した。エラーが発生するのは、輸出入に際して特別な登録が必要な「特定部門別輸入業者登録」、および「特定部門別輸出業者登録」の対象品目だ。進出日系企業の取り扱いが多いのは、特定輸入業者登録の第14部門(製鉄)、および第15部門(鉄鋼製品)の対象であるHS72~73類の鋼材だ。

新関税率表では、9~10桁目の商品情報番号(NICO)を含めてHSコードが合計10桁となった。NICO導入に際し、従来は7~8桁目でコードが異なる複数の品目について、7~8桁目は単一コードに統合し、その上でNICOのレベルで細分化した品目が多い。例えば、HS7210.12号のスズをめっきした厚さ0.5ミリメートル未満の鋼板のHSコードは、従来は規格などに応じて、7210.12.01、7210.12.02、7210.12.03、7210.12.99の4種類に分類されたが、新関税率表では7~8桁目を04に統合した上で、NICO(最後の2桁)を01、02、03、99と付けることで細分している(注1)。この中で、特定部門輸入業者登録の対象品目は、NICOが01と99の鋼材のみだが、SATの情報告知によると、NICOにSATの輸出入承認システムがうまく対応しておらず、NICOが02、03の鋼材を輸入申告した場合であっても、特定部門別輸入業者登録のない企業が申告するとエラーが出てしまい、許可が下りない。このような場合は、通関士が特別な識別コードを申告書に入力することにより、通関が可能。このような事例に加え、1つに統合されたHS上8桁は複数部門の登録対象になる品目を、現NICO(従来のHS8桁)に基づき1部門だけで登録している輸出入業者が輸出入申告する場合もエラーが出る(注2)。この場合も、当該業者が1部門向けの品目しか取り扱っていないことを示す識別コードを入力すれば、エラーを回避できる。具体的な識別コードは以下のとおり。同識別コードは、SATがシステムを抜本的に改修するまで有効で、それ以降は正しくNICOを申告すれば、識別コードなしでもエラーは出なくなる。

(1)12月24日付官報で改定された2020年度の貿易に関する一般規則の別添10-A(特定部門別輸入業者登録対象品目リスト、添付資料参照)にHSコード上8桁が記載されているが、NICOは該当しない品目を輸入する場合

⇒ 商品情報識別コードとして「NS」のコードを入力し、「補足1」の欄に「1000」を入力する。

(2)2020年度の貿易に関する一般規則の別添10-B(特定部門別輸出業者登録対象品目リスト、添付資料参照)にHSコード上8桁が記載されているが、NICOは該当しない品目を輸出する場合

⇒ 商品情報識別コードとして「NS」のコードを入力し、「補足1」の欄に「2000」を入力する。

(3)HS上8桁が複数部門の登録対象となっている品目を1部門しか登録していない業者が輸出入する場合

⇒ 商品情報識別コードして「NS」のコードを入力し、「補足1」の欄にはSATの1月14日情報告示PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に記載されている特定部問の特定品目(HSコード8桁レベル)ごとに定められた3桁(輸入の場合、101~139の39種類)、あるいは4桁(輸出の場合、2101、2102、2301、2501、2601のいずれか)の数字を入力する。

(注1)従来の7210.12.01は、新関税率表では7210.12.04.01となる。同様に、7210.12.02が7210.12.04.02となる。

(注2)7211.19.99は、NICOが01のもの(従来のHSコードで7211.19.01)は第15部門(鉄鋼製品)、02、03、04、99のものは第14部門(製鉄部門)の対象だ。本来であれば、該当する部門に登録していればよいが、HS上8桁レベルでは両部門の対象となってしまうため、両方の登録がないとエラーが出る。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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