トルドー・カナダ首相、バイデン米大統領と電話会談

(カナダ、米国)

トロント発

2021年01月26日

カナダのジャスティン・トルドー首相は1月22日、ジョー・バイデン米国大統領と電話による首脳会談を行った。バイデン大統領にとって就任後初の外国首脳との電話会談となった。トルドー首相は電話会談後の声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの中で、バイデン大統領と新型コロナウイルス対策や経済回復、気候変動、安全保障、国際機関への関与、さらには、中国で現在拘束されている2人のカナダ人の解放に向けての協力などについて協議したことを明らかにした。

カナダが米国との間の懸案事項として大きな関心を寄せているキーストーンXLパイプラインの建設許可撤回(2021年1月22日記事参照)について、トルドー首相はバイデン大統領に失望を伝えたことを明らかにした。バイデン大統領はトルドー首相の失意を認識し、今後の2国間の積極的な対話の継続と協力のさらなる深化に取り組むことを再確認したと言及するにとどまった(1月22日付ホワイトハウス声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。首脳会談に先立ち、アルバータ州やオンタリオ州など4州の首相はトルドー首相に対し、同パイプライン救済のために行動を要請していた。特に、アルバータ州のジェイソン・ケニー州首相は、米国に対する経済報復措置とパイプラインの建設中止による数十億ドルの損失に対する金銭補償を要求するなど、強硬な姿勢を見せている(CBCニュース1月22日)。在カナダ日系企業の中でも、米国新政権の環境・エネルギー政策がビジネスに影響を及ぼすとの声が多い(2021年1月15日記事参照)。

バイデン大統領が掲げる「バイ・アメリカン法」の強化については、同大統領は両国経済のサプライチェーンの深いつながりを認め、政策の策定過程でカナダ当局者と協議することを保証したとされる(CBCニュース1月22日)。トルドー首相はまた、2017年から米国政府から課されている針葉樹材へのアンチダンピング・相殺関税(2017年7月3日記事参照)の撤廃についても訴えた。

バイデン民主党政権はトルドー自由党政権と政治的価値観で共通点も多く、ドナルド・トランプ前大統領によってもたらされた過去4年間の激動の米・カナダ関係の改善が期待されている。両首脳は2月に首脳会談を開くことで合意した。

(江崎江里子)

(カナダ、米国)

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