サウジアラビア、カタールとの国境再開、国交も回復

(サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦、バーレーン、エジプト)

リヤド発

2021年01月06日

1月4日付国営クウェート通信外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますなどの報道によると、サウジアラビアはカタールとの国境再開を決定した。5日からサウジアラビア北西部の都市アルウラで開催された湾岸協力会議(GCC)首脳会合を前に、仲介を行っていたクウェートのアフマド・アル・サバーハ外相が発表したもので、5日夜には陸、海、空の全ての越境が可能となったもようだ。クウェートのナッワーフ・アル・サバーハ首長がカタールのタミム・アル・サーニ首長と、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子とそれぞれ電話協議を行い、意向を確認したとしている。

5日に開催されたGCC首脳会合には、カタールのタミム首長や、クウェートと同様に仲介を行っていた米国のジャレッド・クシュナー上級顧問も参加。各国首脳がアラブ諸国の連帯と安定を示す「アルウラ声明」に署名した(1月5日付サウジアラビア国営通信外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

現地紙「アラブ・ニュース」(1月5日)によると、サウジアラビアのファイサル外相は同日、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、エジプトの4カ国とカタールとの国交が回復されたと述べた。今回の合意については、UAEのガルガシュ外務担当国務相も「地域の安定に貢献する歴史的な合意」と評価するコメントを発表している。

サウジアラビアはUAEとバーレーン、エジプトとともに2017年6月から、カタールがムスリム同胞団などのテロ集団を支援し資金提供を行っていることを主な理由に国交を断絶してきた(2017年6月6日記事参照)。この動きは同年5月20~22日にトランプ米国大統領が就任後初の外遊先にサウジアラビアを選んだ直後に起こったもので、トランプ政権のイラン封じ込め政策強化に呼応し、イランとの関係を深めつつあったカタールを孤立させる背景もあったとみられる。4カ国は同年6月下旬に断交修復の条件として、各国がテロ組織として指定するムスリム同胞団との関係断絶や、カタールの衛星テレビ局アルジャジーラの閉鎖など13項目からなる要求事項を提示したが、カタールがこれを拒否する一方、国境封鎖は国際法違反だと法廷闘争に持ち込む姿勢を見せるなど、膠着(こうちゃく)状態が続いてきた(2017年7月10日記事2019年11月22日記事参照)。

(庄秀輝、田辺直紀)

(サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦、バーレーン、エジプト)

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