三井物産、モアティゼ炭鉱とナカラ回廊インフラ事業をヴァーレに譲渡

(モザンビーク)

マプト発

2021年01月28日

三井物産とブラジル資源大手ヴァーレは1月21日、三井物産がモザンビークにおいて保有するモアティゼ炭鉱事業およびナカラ回廊鉄道・港湾インフラ事業の全持ち分と付随する融資を、ヴァーレに譲渡する基本合意書(HoA)を20日付で締結したと発表した。譲渡価格はそれぞれ1ドル。

三井物産は2014年12月に両事業への参入を正式発表し、2017年にヴァーレとの合弁会社を通して炭鉱事業の約14%、鉄道・港湾インフラ事業の約50%を取得していた。譲渡は2021年中に完了の予定としており、ヴァーレは譲渡完了後も両事業を継続するが、最終的な第三者への売却に向け、英国大手金融バークレーズおよびスタンダードチャータード銀行とともに検討を進めていると報道されている(「ロイター」1月21日、22日)。

ヴァーレは、2030年までに同社の二酸化炭素排出量を33%削減し、2050年までにカーボンニュートラルを達成する目標を掲げており、達成のために同社の石炭事業を売却する方針だ。モザンビーク鉱物資源エネルギー省から報道機関向けの1月21日付の声明では、三井物産からヴァーレへの事業譲渡は上記の方針に沿ったものとの見解を示すと同時に、ヴァーレ、三井物産による、事業の成長や同事業に従事するモザンビーク人の能力向上に対する投資は継続すると説明している。

三井物産は本事業からは撤退するが、このほかにモザンビークでは、フランス資源大手トタルを筆頭とする北部エリア1天然ガス田開発コンソーシアムに参画している。同コンソーシアムは2020年7月に、総額149億ドルの資金調達を発表した(2020年7月31日記事参照)。しかし、同地域の治安情勢が悪化しており(2021年1月15日記事参照)、プロジェクトの進捗への影響が懸念されている。

(松永篤)

(モザンビーク)

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