交通省の助成受け、5Gを活用したインダストリー4.0などを研究

(ドイツ)

ミュンヘン発

2021年01月20日

ドイツのフラウンホーファー労働経済・組織研究所(IAO)は1月8日、交通・デジタルインフラ省(BMVI)から400万ユーロの助成を受け、第5世代移動通信システム(5G)を活用したインダストリー4.0およびスマートシティに関する共同研究プロジェクト(シナジー・リージョン)を実施すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

BMVIは「5Gイノベーションプログラム」で、5Gを活用した国内における具体的なプロジェクトを支援している。同プログラムは2019年の5G周波数割り当てを受けて(2019年6月24日記事参照)、さまざまな地方における実際の環境下での5Gの活用の研究・促進することが目的だ。シナジー・リージョンは同プログラムの支援の下で、実施される。

本共同研究プロジェクトは、IAOとシュトゥットガルト大学労働科学・技術管理研究所および研究キャンパス「ARENA2036外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(注)に参加する企業や研究機関と協力し、ドイツ南西部のバーデン・ビュルテンベルク州シュトゥットガルト市およびその周辺でプロジェクトを3年間かけて実施する。本研究プロジェクトは3段階に分けて実施される。第1段階では、工場の生産工程のネットワーク化に重点を置く。この段階では、企業4社〔バルーフ(自動化技術)、ノキア、ボッシュ、SPIE(エネルギー・通信)〕およびフラウンホーファー生産技術・オートメーション研究所(IPA)が参画する。

第2段階では、物流・工場内物流・生産に活用する5Gを活用した位置トラッキングを研究する。これには、上記バルーフ、ノキア、IPAに加え、トルンプ(レーザー加工)、ピルツ(自動化技術)、スタートアップ企業のNaiSE(工場内物流)およびシュトゥットガルト大学の物流・自動化技術関連研究所が参加する。第3段階では、第2段階と並行し、得られた技術をスマートシティ関連のプロジェクトに転用する。具体的には、工場内の機械の稼働や整備点検の支援および物流にドローンを活用する実験を、シュトゥットガルト大学キャンパスなどで行う。これには、企業2社〔ノキア、ユニスフィア(ドローンを含む無人航空機)〕およびIAO、シュトゥットガルト大学労働科学・技術管理研究所が参加する。

IAOのシュテファン・ブラウン都市システム研究リーダーは、今回の研究プロジェクトについて、「これまで工場内・大学内で活用されてきた技術を公共空間に移転することが重要」とコメントしている。

(注)教育・研究省の助成を受け、2014年に設立された研究キャンパス。自動車・機械・ソフトウエアなどを中心に約45社・機関が参画し、自動車・工場のデジタル化などを研究。ARENAは「Active Research Environment for the Next generation of Automobiles」の略で、2036はゴットリープ・ダイムラーが四輪自動車を発明した1886年から150年後を示したもの。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ)

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