2021年から抗がん剤などの医薬品、粉ミルク原料、航空機材などの関税率を引き下げ

(中国)

北京発

2021年01月04日

中国国務院関税税則委員会は2020年12月23日、一部品目の輸入関税率を調整すると発表した。2021年1月1日から883品目に対して、WTO加盟国に対する最恵国税率(MFN税率)より低い輸入暫定税率を適用する(注1)。

883品目のうち、患者の経済的負担を軽減し、国民の生活の質を改善するために、抗がん剤および希少疾病用医薬品の原料、特殊病児用食品などについてゼロ関税を実施する。人工心臓弁膜(HS90213900)、補聴器(HS90214000)についてはそれぞれ4%から1%に、粉ミルク原料である乳清タンパク質・ラクトフェリン(HS35022000)については10%から5%に引き下げる。

また、燃料電池循環ポンプなど新型インフラまたはハイテク産業用の一部の設備・部品・原材料の輸入関税率を引き下げるほか、航空分野における国際技術協力を促進するため、航空機エンジン用の燃料油ポンプなど航空機材に対して輸入暫定税率を適用する。

大気の質の改善および環境保護製品の生産を支援するため、ディーゼルオイルエンジンの排気浄化装置、排ガスのリサイクル用バルブなどの商品の輸入関税率を引き下げる。

商務部国際貿易経済合作研究院の尹政平研究員は「今回の調整には一部の医薬品・医療機器、食品およびその原材料、航空機エンジン用の燃料油ポンプなど航空機材、集積回路部品などの生産にかかわる一部の設備・部品および原材料が含まれており、民生の改善と産業のレベルアップを促進する政策の方向性がみられる」との見方を示した(「経済参考報」2020年12月24日)。

このほか、2021年1月1日から、モンゴルからの一部輸入品目に対してアジア太平洋貿易協定(APTA)に基づく関税率を適用。同じく1月1日からニュージーランド、スイス、オーストラリア、韓国など10カ国との間で、2国間の貿易協定またはAPTAに基づき、協定関税率をさらに引き下げた。さらに、WTO加盟議定書の一部である情報技術認定(ITA)に基づき、2021年7月1日から情報技術製品176品目について、第6段の引き下げを実施する。同措置について、尹研究員は「関連産業の輸入設備、部品、原材料のコストのさらなる引き下げや、産業チェーンとサプライチェーンの安定、産業の質の高い発展の推進につながる」と分析している(同、注2)。

通知原文と各品目の税率などについては、財政部ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで閲覧できる。

(注1)2020年には、859品目に対して輸入暫定税率が適用されていた(2019年12月25日記事参照)。(注2)中国はITAに基づき、MFN税率自体を段階的に引き下げることを約束しており、今回は6回目の引き下げとなる。

(趙薇)

(中国)

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