2020年から医薬品、豚肉、ハイテク製品などの関税率を引き下げ

(中国)

北京発

2019年12月25日

国務院関税税則委員会は12月23日、一部品目の輸出入関税率を2020年1月1日から調整すると発表した。859品目に対して、WTO加盟国に対する最恵国税率(MFN税率)より低い輸入暫定税率を適用する(注)。

859品目のうち、ぜんそく治療用のアルカロイド類医薬品、新型糖尿病治療薬を生産する原料などについて、投薬コストを引き下げ、新薬の生産を促進するために、ゼロ関税を実施する。また、国内で比較的供給が不足している財の消費を増やすため、食品について新たに暫定税率を設けた。ASF(アフリカ豚コレラ)の流行により供給不足が指摘されている冷凍豚肉(HSコード02032200、02032900)の関税率は12%から8%に引き下げられる。

半導体関連製品なども引き下げ

さらに、先進技術・設備・部品の輸入を拡大し、ハイテク技術産業の発展をサポートするためとして、自動車のオートマチックトランスミッションに用いるトルクコンバーター(87084091、87084099)やアルミニウム製バルブコア(87084091、87084099)、集積回路(IC)ストレージ(85423210)やフォトレジスト用分散液(32041700)などの半導体関連製品についても、新たに関税率が引き下げられる。

今回の調整について、北京師範大学国際経済貿易学部の魏浩主任は、豚肉や果物、医薬品などの関税率が引き下げられていることを挙げ、消費者と企業の需要にピンポイントに対応したものと指摘した。また、ハイテク製品について、一部の国がコアとなる部品・技術・原材料の供給を断つことで中国企業に圧迫を加えているとし、同分野の輸入を拡大することでボトルネックを解消する必要があるとした。さらに、一部の国が中国のハイテク製品に対し関税を引き上げているため関連企業が大きな圧力に直面しており、部品や原材料の関税率引き下げによって、こうした企業のランニングコストを削減できるとした(「21世紀経済報道」12月24日)。

一方、中国が輸入規制を強化している固体廃棄物のうち、タングステンとニオブの2種のくずに対しては輸入暫定税率が取り消され、より高いMFN税率が再び適用される。

そのほか、WTO加盟議定書の一部である情報技術協定(ITA)に基づき、2020年7月1日から情報技術製品176品目について、第5段階の引き下げを実施する。

今回発表された原文と詳細な各品目の税率などについては、財政部ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで閲覧できる。

(注)2019年には、706品目に対して輸入暫定税率が適用されていた(2018年12月28日記事参照)。

(小宮昇平)

(中国)

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