法定最低賃金を引き上げ、算出方法が変更に

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2021年01月08日

ロシアの法定最低賃金が1月1日に改定され、月額1万2,792ルーブル(約1万7,909円、1ルーブル=約1.4円)になった。前年に比べ5.5%の引き上げとなる。加えて、法定最低賃金の算出方法に関する修正も行われ、生活に最低限必要な物品・サービスの価格を基準としていたものを、国民所得をベースとする内容に変更した。

プーチン大統領は2020年12月29日に、最低生活費の修正に関する連邦法(2020年12月29日付第473-FZ号)に署名した。本法では2021年の法定最低賃金額だけでなく、その算出方法の変更についても規定している。法定最低賃金はこれまで、前年の第2四半期の労働者の最低生活費によって算出(2019年10月1日記事参照)されていたが、今回から前年の1人当たり所得の中央値(注)の42%とすることが定められた。加えて、法定最低賃金は労働者の最低生活費と前年の最低賃金を下回ってはいけないと規定された。

アントン・コチャコフ労働・社会保障相は算出方法変更の理由について、社会的不平等を是正する必要があったと説明している。法改正前は生活に最低限必要な物品(パン、野菜、果物、砂糖、塩、茶、肉、魚、牛乳、バターといった主要食料品)や住宅公共サービス費に基づいて算出されていたが、算出根拠となる物品・サービスの種類が過去12年間変更されておらず、これらは年間3%しか物価上昇しない一方で、平均賃金の伸びは毎年6~7%に達していたため、最低賃金で働く労働者と平均賃金受領者との間の所得格差が年々拡大していた。労働・社会保障省の試算によると、今回の改定によって恩恵を受けるのは390万人に上る(「ロシア新聞」2020年10月6日)。

なお、法定最低賃金は給与だけではなく、保険料や失業手当、子供の養育手当などの算出の際の基準としても用いられている。

(注)国民の所得金額を小さい(または大きい)順に並べた際に真ん中に位置する金額

(宮下恵輔)

(ロシア)

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