米国移民局、3月からH-1B就労ビザの選考を抽選から賃金ベースに変更

(米国)

ニューヨーク発

2021年01月13日

米国移民局(USCIS)は1月7日、米国労働者の経済的利益を守ることを目的に、外国人に発給するH-1B就労ビザの選考方法を、従来の抽選方式から賃金をベースに優先順位をつける方法に変更すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。また、それに伴う最終規則を1月8日に官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公示した。

本規則は、官報公示日の1月8日から60日間の間に、連邦裁判所での差し止めやジョー・バイデン次期米大統領の政権下での変更などがなければ、3月9日から有効となる。3月9日以降の申請が今回の最終規則の対象となる。

USCISのジョセフ・エドロー政策担当副局長は変更の理由を、「今までH-1Bビザプログラムは、雇用者がコスト削減のために下級職を(外国人で)埋めるというかたちで悪用されていたため」だとし、「現行の抽選方法は企業にとって雇用計画が立てづらいだけでなく、最良の国際的な労働力を獲得することができず、米国の労働者を犠牲にしながら、低賃金の役職に就くために外国人労働者が毎年、国内に流れ込むという結果を生んでいた」と指摘した。

2020年10月に、米労働省(DOL)とUSCISの親機関である米国土安全保障省(DHS)が発表したH-1B就労ビザの要件の厳格化規則(注)の内容の一部は、H-1Bビザで働く労働者の賃金を、同等のポジションの米国人労働者の賃金と同等またはそれ以上であることを条件とするというものだったが、規則改正の理由は、今回の選考方法変更の理由と同様だった(2020年10月14日記事参照)。USCISは今回のH-1B就労ビザ選考方法の変更について、2020年11月2日に規則制定案告示外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(NPRM:Notice of Proposed Rulemaking)を行うとともに、パブリックコメントを募集していた。今回は、それらパブリックコメントに基づく最終規則となる。

(注)2020年12月1日にカリフォルニア州北部地区の米連邦地裁により無効とされ、発効されなかった(2020年12月16日記事参照)。

(吉田奈津絵)

(米国)

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