キルギス大統領選で前首相が勝利、国民は大統領権限強化を支持

(キルギス、ロシア)

欧州ロシアCIS課

2021年01月13日

中央アジアのキルギスで1月10日に大統領選挙が行われ、前首相のサディル・ジャパロフ氏(52)が79%の得票率で当選した。また同時に、大統領に権限を集中させる制度改革の是非を問う国民投票も行われ、賛成が81%に達した。

今回の大統領選挙は、ソオロンバイ・ジェエンベコフ前大統領の辞任(2020年10月20日記事参照)に伴うもので、17人が立候補した。前大統領の任期は2023年までだったが、2020年10月に実施された議会選挙の結果に不正があったとして大規模な反政府デモが発生し、辞任に追い込まれた(2020年10月8日記事参照)。

首都ビシュケクで1月10日に勝利宣言したジャパロフ氏は「汚職のない開かれた政府をつくる。前政権の過ちを繰り返さない」と述べた。同氏はこれまで、「政党システムはキルギスに政治的混乱をもたらしただけ」と主張し、憲法改正による大統領権限の強化を公約に掲げていた。今回の国民投票で大統領権限強化に対する支持を受けたことから、今後、憲法改正の手続きが加速するとみられる。

キルギスは、ロシアが主導するユーラシア経済連合の加盟国だ。1月10日の勝利宣言の際も、シャパロフ氏は「ロシアは重要な戦略的パートナー」として、関係を重視する考えを示した。キルギスの混乱について以前に懸念を表明していた、ロシアのプーチン大統領も11日、シャパロフ氏のこの発言に呼応するように祝電を送った(「AP」1月11日)。

(今津恵保)

(キルギス、ロシア)

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