SIMカードと国民識別番号のひも付けを義務付け

(ナイジェリア)

ラゴス発

2021年01月25日

ナイジェリア通信委員会(NCC)は12月15日に通達外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発出した。国民識別番号(National Identity Number、NIN)を携帯電話のSIMカードに12月末までにひも付け登録することを義務付け、登録できなかった場合はSIMカードをブロックするという内容だ。新型コロナウイルス感染拡大により12月21日から12等級以下の公務員は全員在宅勤務が指令されているが(2020年12月23日記事参照)、多くの登録申請者が国家国民識別番号管理委員会(the National Identity Management Commission、NIMC)のオフィスに殺到、感染者が複数発生し、事務員がストライキを実施したことなどから、登録期限が2月18日まで延長されるなど、混乱が広がっている。

現地報道によると、NINのSIMカードひも付け義務化は、2020年10月に全国で発生したナイジェリア警察の特別強盗対策部隊(Special Anti-Robbery Squad、SARS)の解散を求める抗議デモに便乗した暴動(2020年10月15日記事参照)で、扇動者のSIMカードを追跡できなかったことを政府が問題視したことが動機とされる。携帯電話契約数約1億7,000万枚のうちNINひも付けが済んでいるのは4,000万人強で、NIMCのNIN登録処理能力は1カ月50万人で、登録期限に間に合わない多数のユーザーの通信が遮断されると経済活動が混乱することが懸念される。NIMCは連邦首都地区(FCT)の20拠点のオフィスを再開したとする一方で、SIMカード保有者が通信事業者を通して送信したNINがNIMC側の照合作業で認証されないという事態に直面しており、登録期限までの対応は不可能だと指摘されている(「ガーディアン」紙1月18日)。この混乱に乗じたフィッシング詐欺の偽アプリも出現し、NIMCはその対応にも追われている。

(谷波拓真)

(ナイジェリア)

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