警察の特別強盗対策部隊の解散発表するも、抗議活動が激化、市民生活にも影響

(ナイジェリア)

ラゴス発

2020年10月15日

ナイジェリア警察の特別強盗対策部隊(Special Anti-Robbery Squad、SARS)の活動を非難する抗議活動が全国で激化している。

SARSは強盗や誘拐、暴力事件への対処を目的として1992年に組織された武装警察隊(米「ウォールストリート・ジャーナル」紙10月12日)だが、本来の権限を逸脱し、制服を着用せずに武器を携行し、日常的に道路の検問や所持品検査、情報端末の個人情報閲覧などのハラスメントを行っていると、かねて指摘されていた。10月3日には南部のデルタ州で、SARSの構成員がドライバーを検問した後に射殺し、被害者の乗っていたスポーツ用多目的車(SUV)を強奪した事件を撮影した動画が複数の著名人によってSNSで拡散し、SARSの解散を求める声が全国で高まっていた(BUSINESS DAY10月4日)。

アダム・モハメド警視総監は11日、SARSを解散すると発表(The Cable10月11日)したが、逮捕された抗議デモ参加者の釈放や被害者への賠償などを求め、抗議デモが全国で続いている。翌12日にはラゴス州Surulere地区で、デモ参加者が警察官に射殺される事件も発生(BBC10月12日)、デモが激化し、道路がふさがれ渋滞が発生している。デモは外国人が多く居住するラゴス州Ikoyi地区やLekki地区でも発生しており、この2地区を結ぶLekki-Ikoyiリンクブリッジがデモ隊によって夜間封鎖されるなど、市民生活に影響が出ている。

写真 Lekki-Ikoyiリンクブリッジ。Ikoyi側に集結する群衆(10月13日午後9時ごろ、ジェトロ撮影)

Lekki-Ikoyiリンクブリッジ。Ikoyi側に集結する群衆(10月13日午後9時ごろ、ジェトロ撮影)

写真 Lekki-Ikoyiリンクブリッジ。Lekki側の閉鎖された料金所(10月13日午後9時ごろ、ジェトロ撮影)

Lekki-Ikoyiリンクブリッジ。Lekki側の閉鎖された料金所(10月13日午後9時ごろ、ジェトロ撮影)

(谷波拓真)

(ナイジェリア)

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