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英国政府が英EU間物流維持に注力も、今後の混乱に懸念

(英国、EU)

ロンドン発

2021年01月04日

英国のEU離脱(ブレグジット)に伴う移行期間が2020年12月31日に終了し、英国とEUの間で新たな制度下での物流が2021年1月1日から始まった(2021年1月4日記事参照)。円滑な物流を維持するため、英国政府はこれに向けた準備を急いできた。

運輸省は2020年11月以降、陸運業者に対して新たな規制や書類作成について情報提供する「陸運業者助言サイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を、高速道路のサービスエリアなど全国に順次設置。12月には書類が準備できていない重量物車両がドーバー港や英仏海峡トンネル付近に立ち入ることを未然に防ぐ「重量物車両の確認(Check an HGV)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」と「ケントアクセス許可証」の運用(2020年10月27日記事参照)を開始した。英仏物流停止による混乱で発動した「オペレーション・ブロック」(2020年12月23日記事参照)も準備は整っている。

新型コロナウイルス感染症をめぐっては、重量貨物車両がドーバー港、英仏海峡トンネルを経由して大陸に向かう際、英仏政府が取得を義務付けている新型コロナウイルス感染症の陰性証明を持つ運転手を、2021年1月1日から優先通過させる運用を開始。運輸省は、感染検査を受けられる陸運業者助言サイトを急ピッチで増やしている。

歳入関税庁(HMRC)も2020年12月、EUからグレートブリテン島、同島から北アイルランドへの貨物移送の際に手続きが必須となる「物品車両移動サービス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の供用を開始。2021年1月1日からは、トランジット貨物やATAカルネによる一時輸入貨物の通関手続きを行うほか、書類不備で出国を認めなかったトラックにも対応する「内陸国境施設外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を複数稼働させている。

国境以外でのサプライチェーンに懸念も

政府がさまざまな施策を導入する一方、休暇が明けて荷動きが活発になるにつれ、混乱が生じるとの懸念も根強い(2020年12月28日記事参照)。内閣府が2020年9月に公表したシナリオ予測では、英仏海峡間の混乱は最初の2週間ほどで悪化・顕在化すると見込む(2020年9月25日記事参照)。貨物量は大幅に増加する見込みだ。

加えて、国境以外でのサプライチェーンの懸念を指摘する声もある。陸運業協会(RHA)のロッド・マッケンジー政策部門長は、輸送業者が出発前に行うべき新たな手続きに忙殺され、国境に向かう以前に物流拠点を出発できずに貨物が遅延する「見えない遅れ」が広がる可能性を指摘する。

新型コロナウイルス変異種拡大や移行期間終了に伴い、英国の事態が流動的なことを受け、EU側で英国に向かうトラック運転手の手配が難しくなっている、との声も12月下旬から多数聞かれている。最悪の場合、混乱が沈静化し、物流量が回復するまでに3カ月ほどかかるとの見方もあり(内閣府シナリオ予測)、当面は気を抜けない状況が続きそうだ。

(宮崎拓)

(英国、EU)

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