ブレグジット移行期間が終了、物流はおおむね順調

(英国、EU)

ロンドン発

2021年01月04日

英国のEU離脱(ブレグジット)に伴う移行期間が2020年12月31日午後11時(中央ヨーロッパ時間2021年1月1日午前0時)に終了し、英国がEU単一市場と関税同盟から名実ともに離脱した。間際で妥結した英EU通商・協力協定(2020年12月25日記事参照)は12月末までに英国側での批准手続きを完了、EU側でもEU理事会で暫定適用に合意し、同協定は移行期間終了とともに適用を開始。これにより、原産地規則などの条件を満たせば関税は課されないことになったが、通関手続きはEUで直ちに導入され、英国でも半年間の段階的な導入(2020年6月16日記事参照)が始まった。

イングランド交通局(ハイウェイズ・イングランド)や在欧メディアなどによると、移行期間終了初日からの3日間は、ドーバー海峡両岸の英ドーバー港やフランスのカレー港、英仏海峡トンネルの双方のターミナルなど、いずれも貨物遅延などの混乱はなく、物流は順調だった。英国内での新型コロナウイルス変異種感染拡大を受け、2020年12月下旬に英仏間の物流が一時停止したことで発生した、英南東部ケント州での数千台のトラック滞留(2020年12月23日記事参照)は、同月末までに解消していた。

グラント・シャップス運輸相は2021年1月3日午後、「(最初の3日間が)祝日と週末だったため、ケント州経由で欧州に向かうトラックはまだ少ない。しかし(国境通過地点に)やってきたトラックの98%は通関手続きができていたことが確認できたのは朗報だ」とツイート。少ないながら、事前手続きの不備で国境通過を認められなかったトラックがあったことを明らかにしたが、大きな混乱はなかったようだ。

BBCによると、グレートブリテン島からアイルランド島に向かうトラックについても、手続き不備でウェールズからのフェリー乗船を拒否された車両や、北アイルランド到着後に動植物検疫施設(BCP)で不備のある書類の修正に時間を要した事例などが複数発生したことが報じられているが、それらのほかには目立った問題はみられなかった。休暇明けも順調な物流を維持できるか、注目が集まる(2021年1月4日記事参照)。

(宮崎拓)

(英国、EU)

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