テブン大統領が新型コロナ感染から復帰、2021年財政法に署名

(アルジェリア)

パリ発

2021年01月06日

アルジェリアで新型コロナウイルス(注)に感染し、2020年10月28日からドイツの病院に入院していたアブデルマジッド・テブン大統領(2020年11月9日記事参照)が12月29日にアルジェリアに帰国した。同大統領は12月31日に2021年財政法PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に署名し、同法は同日付官報83号に掲載された。原油価格を40ドルに設定し、経済成長率は4%、インフレ率は4.5%を見込む。各種補助金や国民福祉制度を維持したこともあり、歳出は8兆1,133億アルジェリア・ディナール(約6兆3,284億円、DA、1DA=約0.78円)で前年比10%増、財政赤字は対GDP比13.5%に達する。

また、輸入規制の強化により、輸入額は282億ドルと前年比14%減を見込む。同法第118条の規定により、新たな輸入規制措置の1つとして、食料品や国家経済に不可欠な輸入品、国営公社の輸入品などを除き、原則として全ての完成品の輸入取引を対象に、出荷45日後の為替手形決済「paiement à terme」(B/E)の利用が義務付けられる。

政府は2020年財政法と2020年補正財政法により、外資の出資比率を最高49%に制限する51/49措置を製造業全般で廃止したが(2020年6月12日記事参照)、2021年財政法第139条でも当該緩和措置を維持した。一方、完成品の輸入・販売業と戦略的産業のエネルギー・炭化水素、鉱業、交通、軍事、製薬部門は引き続き外資の出資比率制限の対象となっている。同条は完成品の輸入・販売業を行っている既存の外資系法人に対しても遡及(そきゅう)適用されるため、当該分野の法人は2021年6月30日までに外資比率を49%以下にする必要があり、対応しない場合は商業登記が無効となる。

そのほか、スタートアップ・ラベル認定取得後4年間の法人税(IBS)、職業税(TAP)などの免税措置、アルジェ証券取引所に上場している法人を対象とした3年間の法人税の減税措置、法人税申告のオンライン化の拡大が導入された。

(注)アルジェリアの新型コロナウイルス・パンデミック監視科学委員会によると、1月4日の新規感染者数は237人、累計感染者数は10万645人。12月上旬に比べ感染は減速しており、政府は一部措置(午後8時~翌日午前5時の外出禁止)を1月1日からさらに2週間延長したものの、この措置の対象を29県に縮小した。移動規制も緩和し、県をまたぐ電車、バス、タクシーでの移動も9カ月ぶりに許可された。ただし、市内の公共交通は週末のみの再開で、平日の再開めどは立っていない。

(ピエリック・グルニエ)

(アルジェリア)

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