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米連邦議会、新型コロナ対策の追加支援策を可決、トランプ大統領は修正要求

(米国)

ニューヨーク発

2020年12月24日

米連邦議会は12月21日、新型コロナウイルス対策の追加支援策を含む法案を可決した。与野党で9,000億ドル規模の支援策が合意に達し、現金給付や中小企業支援、ワクチン普及費などが盛り込まれた。一方、トランプ大統領は現金給付額が不十分とし、法案の署名に消極的な姿勢を示している。

今回の支援策(添付資料参照)は、2021会計年度(2020年10月~2021年9月)の歳出法案PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(1.4兆ドル相当)に付帯するかたちで策定された。法案は21日深夜、下院で賛成359票、反対53票(棄権17票)、上院で賛成92票、反対6票(棄権2票)で可決した。

2度目となる現金給付は、成人・未成人ともに1人当たり600ドルが支給される。成人の年収(2019会計年度が基準)が7万5,000ドル超の場合は、所定の条件に該当する場合を除き、100ドルを超過するごとに5ドルずつ減額され、年収9万9,000ドル以上の成人には支給されない。失業保険については、1週間当たり300ドルの追加給付を12月26日から2021年3月14日まで実施する。労働省PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、失業関連給付の継続申請総数は全米で2,036万件に上る(12月5日時点)。また、住居の賃料支払い支援に250億ドルを確保するとともに、賃料不払いによる強制退去猶予措置を2021年1月末まで延長する。

中小企業支援では、従業員への給与支払いを補填(ほてん)する給与保護プログラム(PPP)に予算の大半となる2,845億ドルが充てられる(注1)。PPPは新規申請とともに、従業員数300人以下の中小企業を対象に、2019年と2020年の各四半期の総収益を比較して25%以上減少している場合に2度目の申請を受け付ける。また、中小企業向けの融資プログラムの経済損害災害ローン(EIDL)に200億ドルが追加補填されるほか、演劇業界や芸術施設などへの緊急支援に150億ドルが確保されている。

税制措置では、給与税の支払い義務の免除(2020年9月3日記事参照)について、トランプ大統領が設けていた2021年4月末の期限を同年12月31日まで延長する。また、雇用維持のための税額控除について、有効期限の延長(現行の2020年末から2021年6月30日まで)や、控除する範囲の拡大(従業員給与の現行の5割から7割へ)などが行われる。さらに、有給の病気・家族休暇を取得した従業員への給与支払税の控除延長が盛り込まれ、PPPの返済免除額を税申告上の総収入に含めないことが明記された。

このほか、支援策には、ワクチン普及や州・自治体への検査・追跡などの支援、児童ケアの拡充、航空業界への支援などが盛り込まれた。他方、民主党が要求していた州・自治体への補助金や、共和党が求める事業者への民事上の免責規定は合意に至らなかった。大統領就任が確実視されるジョー・バイデン前副大統領は、法案可決を歓迎しつつ、「始まりにすぎない」と述べ、新型コロナウイルス対応に関わる次期政権公約の実現に向けた協力を議会に求めた。産業界では、米国商工会議所や全米製造業協会(NAM)が支援策を支持する声明を発表している。NAMのジョーダン・ストイック副会長(政府関係担当)は「PPPの追加予算は引き続き、小規模の製造業者の命綱となる」と述べるとともに、検査やワクチンの普及、税控除などにより、企業の安全な操業が保証されると期待を示した。

一方、トランプ大統領は12月22日、議会が可決した法案が自らの期待と異なると批判し、現金給付を1人2,000ドルに増額するなどの修正の必要性を訴えた。大統領は法案を受領してから10日以内に署名または拒否権行使を行うことができる(注2)。ただし、大統領が署名を拒んだ場合でも、上下両院でそれぞれ3分の2の賛成票があれば、大統領の拒否権を覆して法案は成立する。ナンシー・ペロシ下院議長(民主党、カリフォルニア州)はトランプ大統領による増額要求を支持し、共和党にも要求に応じるよう求める意向を示している。

(注1)添付資料表の金額の出所は法案ではなく、シンクタンクが試算したもののため、多少の誤差がある。

(注2)大統領が10日以内に署名または拒否権の行使を行わない場合、法案は成立する。ただし、議会が同期間に休会している場合(または閉会を迎える場合)は、法案は成立しない。なお、「10日(以内)」の起算方法について、日曜日はカウントされない。

(注3)これまでの連邦政府の新型コロナウイルス対策法については以下を参照。

  • 第1弾:トランプ米大統領、83億ドルの新型コロナウイルス対策予算法に署名(2020年3月10日記事参照
  • 第2弾:トランプ米大統領が第2弾の新型コロナウイルス対策法に署名、検査無償化や有給休暇を拡充(2020年3月24日記事参照
  • 第3弾:トランプ大統領、総額2兆2,000億ドルの救済法案に署名(2020年3月30日記事参照

(藪恭兵)

(米国)

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