英国からの直行便乗り入れ禁止、賃金補助プログラムの延長も決定

(チェコ)

プラハ発

2020年12月23日

チェコ内閣は12月21日、英国で新型コロナウイルスの変異種が確認されたことを受けて、同日正午から最長12月31日まで、英国からチェコへの全ての直行便の運航禁止を発表した。ただし、救急・救命の場合や帰国用チャーター便は除く。

さらに、20日午後3時30分以降、過去14日以内に英国に滞在し(滞在期間は問わず)、チェコに入国する者に対して、入国後5日目から7日目の間にPCR検査を受け、検査結果を管轄衛生局に提出する義務を課した。同時に、入国後10日間または検査結果提出までの期間は、生活必需品の購入や医療機関受診の場合などを除き、移動の自由を制限する。

内閣はまた、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた企業への賃金補助プログラムに関して、適用期限を12月末から2021年2月末に延長することを決定した。このプログラムは、(1)政府の感染拡大防止策による直接的な事業への影響、(2)供給停滞、需要減退など間接的な事業への影響の2つのスキームに分類されるもので、2020年4月から実施され、適用期間はこれまでに何度か延長されてきた(2020年4月2日記事2020年6月19日記事2020年10月19日記事2020年10月28日記事参照)。今回の期限延長は両スキームに適用され、内容の変更はなされない(注)。内閣は今回の新型コロナウイルス対策に特化した賃金補助プログラムに代わる、より恒常的・一般的な時短制度(災害、感染病などの影響による労働時間の短縮によって減少した賃金の一部を国が補助する短時間労働制度)の2021年1月からの導入を目指していたが、これを定めた法律がいまだに下院審議の段階にあることに鑑み、賃金補助プログラムを再延長することとなった。

労働・社会福祉省が12月11日付で発表したデータによると、これまで同プログラムの国家支出額は218億コルナ(約1,046億円、1コルナ=約4.8円)。適用企業数は6万5,235社で、社会保険局に登録されている企業数の約24.8%に当たる。また、賃金補助の対象となった被雇用者数は89万4,340人で、全ての被用者数369万4,000人の約24.2%を占めている。適用を受けた企業を部門別にみると、卸売り・小売り部門が最も多く、全体の23%を占めた。以下、ホテル・レストラン部門の19%、製造業の16%と続く。

(注)(1)のスキームについては、10月から一部要件と国の負担額上限が変更されたが、変更後の内容がそのまま継続される(2020年10月19日記事参照)。

(中川圭子)

(チェコ)

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