社会保険料3カ月支払い免除制度の導入が決定

(チェコ)

プラハ発

2020年06月19日

チェコ議会で6月16日、社会保険法改正案が可決された。これは新型コロナウイルス対策の雇用支援スキームの一環として、社会保険料免除制度の導入を定めたものだ。

雇用支援としては、既に4月6日から賃金補助プログラムが開始されている(2020年4月2日記事参照)。同プログラムでは当初3月、4月賃金分のみが対象とされていたが、のちに8月賃金分までの継続をチェコ政府が決定している。

今回可決されたスキームでは、2020年6、7、8月分の被雇用者賃金に関わる社会保険料の雇用者負担分(グロス賃金の24.8%)が免除の対象となる。ただしグロス賃金には5万2,253コルナ(約23万5,000円、1コルナ=約4.5円)の上限が設定され、これを超える賃金にかかる保険料は免除の対象とはならない。

制度適用には、以下を満たしていることが条件とされる。

  • 対象月の月末における従業員数(病欠保険料支払い対象被雇用者数)が50人以下
  • 対象期間のそれぞれの月末における従業員数の減少率が、2020年3月31日時点の従業員数に対して10%以下
  • 対象期間のいずれかの月における全従業員の賃金合計額の減少率が、2020年3月の賃金合計額に対して10%以下
  • 対象月に他の賃金補助スキームの適用を受けていない
  • 2020年6月1日付で納税登録がチェコあるいはEU・EEA加盟国でなされており、かつ直近の納税期における法人税課税対象となった収入に対して、チェコ国内での収入の占める割合が50%超
  • 従業員数には、育児休暇など長期休暇中、あるいは退職・解雇通知期間中の被雇用者も含まれる。

申請は、社会保険局への提出が義務づけられている「保険料報告書」に、免除額を反映して行う。申請後、期限内に企業は従業員負担分のみ社会保険料を支払う。審査は、後日社会保険局が定期監査の際に実施する。

このほかの新型コロナウイルスの影響による経済対策としては、新たな税制パッケージも同日議会で可決された。ここでは、欠損の2年間繰り戻し制度(ただし最高3,000万コルナまで)の導入、宿泊サービス、文化イベントなどのチケット料金に係る付加価値税率の15%から10%への引き下げ、3.5トン超の車両に課せられる道路税の25%引き下げなどが定められた。

(中川圭子)

(チェコ)

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