賃金補助プログラムを一部改正、4月6日より申請受付

(チェコ)

プラハ発

2020年04月02日

チェコ政府は、3月31日、企業に対する賃金コスト補助プログラムの一部改正を閣議決定した。これにより、3月23日に拡大されたプログラム(2020年3月25日記事2020年3月26日記事参照)より、その構成が簡素化されることとなり、また国の負担額上限なども明文化された。

 改正前のプログラムでは、5つのケースについて、適用条件と補助範囲が定められていたが、今回修正されたプログラムでは、国の負担割合、上限額により次の2つのスキームに集約されている。

(1)【(1)政府の感染拡大防止策のため営業停止あるいは制限が強制された場合、あるいは(2)従業員が自宅隔離状態にある場合】(1)に関しては企業が従業員に賃金の100%を支給すること、(2)については自宅隔離の対象となっている従業員に賃金の60%を支給することを条件に、国がその賃金に雇用者負担社会保険料を加えた額の80%を負担する。ただし、負担額上限は一人当たり月額3万9,000コルナ(約17万円2,000円、1コルナ=約4.4円)。

(2)【(1)30%以上の従業員が自宅隔離あるいは休校による子供の世話のため出勤できず、そのため企業が他の従業員にも業務を課することができない場合、(2)企業活動に必要な原料、製品、サービスの調達ができず、活動の停止・縮小をせざるを得ない状況となり、これに伴い、従業員に対して一時的業務停止措置を講じる場合、(3)販売先の需要が制限された結果、活動を停止・縮小せざるを得ない状況となり、これに伴い、従業員に対して一時的業務停止措置を講じる場合】(1)に関しては企業が従業員に賃金の100%を支給すること、(2)については賃金の80%を支給すること、(3)については賃金の60%を支給することを条件に、国がその賃金に雇用者負担社会保険料を加えた額の60%を負担する。ただし、負担額上限は一人当たり月額2万9,000コルナ(約12万8,000円)。

補助金支給の条件としては、企業がチェコ労働法を遵守し、賃金の支給、社会保険料、健康保険料を納めることのほか、当該従業員が解雇・退職の対象でないこと、年金・疾病保険に加入していることが挙げられている。

賃金補助の申請受付は4月6日に開始される。現状、補助の対象となるのは、3月12日から4月30日までの給与で、さらに延長される可能性がある。企業は、前月分の賃金を支給したのち、労働局にその還元を電子媒体で求めるかたちとなる。

経済対策以外では、政府は3月30日に、翌31日午前0時から4月12日まで、外国から入国するチェコ人、チェコ永住者、および90日超の長期滞在外国人全員に14日間の自宅待機が義務付けられることを決定した。それまでは感染危険度の高い国からの入国者のみに限られていた。なお上記以外の外国人の入国は、3月16日より禁止されている。

また3月16日より実施されている移動制限、および3月14日より施行されている食料品店、薬局などを除く店舗の閉鎖措置(2020年3月18日記事2020年3月26日記事参照)に関して、再度延長し、期限を4月11日午前6時までとすることを閣議決定した。

さらに4月1日には、3月12日から30日間を対象に発動された非常事態宣言の30日延長も閣議決定された。ただしこれに関しては下院の承認が必要となる。臨時国会は4月7日に招集される予定だ。

(中川圭子)

(チェコ)

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